こころの栄養(連載コラム)

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第一回

松下幸之助 道をひらく言葉 監修:PHP研究所研究本部

「経営の神様」と呼ばれたパナソニックの創業者・松下幸之助は、企業経営の枠を超え、理想的な社会実現のために思索し行動し続けました。その松下が、人生に対する深い洞察をもとに綴った『道をひらく』は不朽のロングセラーとして読み継がれ、ついに累計部数500万部を達成。今回は、松下のあまり知られていない一面と、心に響くメッセージをご紹介します。

松下幸之助・もう1つの顔

松下幸之助といえばまず何といっても、経営者として知られています。しかし、実はさまざまな顔を持った人物でもあるのです。

アメリカの有名な雑誌『ライフ』が1964年9月、目前に迫った東京オリンピックへの注目もあって、日本特集を組み、代表的日本人として松下幸之助をレポートしました。

そのとき、彼は“5つの顔”を持つ人物すなわち「最高の産業人、最高所得者、思想家、雑誌発行者、ベストセラー作家」であり、「フォード(自動車で有名な実業家)とアルジャー(アメリカの有名な牧師兼作家)の2人を1人で兼ね備えたパイオニア」と紹介されました。

ただ実際の松下幸之助はそれだけではありません。創業期のころはエジソンのような発明家であり、政治家や実業家を養成する松下政経塾を設立した晩年の活動を思えば、今でいう社会起業家。そして茶人でもありました。

さらに、飛鳥保存財団の理事長や霊山顕彰会(りょうぜんけんしょうかい)の会長として歴史や文化財の保護者となり、芸術家の支援をしたという点ではパトロン。複数の大学からは名誉博士号も与えられています。もう何でも名乗れるほどの成功を収めたといってもよいでしょう。

選択の余地のないマイナス条件から人生を切り拓いた人

ただし、松下幸之助自身は何らかの肩書きを望んで努力したわけではありません。目の前のお客様、あるいは広く社会から求められる仕事に、ただ誠実に応えていった結果として、いろいろな肩書きを頂戴したにすぎないのです。

多くの方がご存じのように、松下幸之助の人生は、物心がつくころから選択の余地のない苦労の連続でした。家産がかたむき、小学校を中退して、9歳から火鉢店や自転車店に奉公。しかも親きょうだいを早く喪(うしな)い、みずからも病弱という境遇から人生のスタートを切ります。そうしたことは、もとより自分が望んだことではありません。それでも、同世代の少年が学校に通うのを横目で妬むわけでもなく、ひたすらに誠実な努力を重ねていきました。

そうして15歳で電気に憧れて大阪電燈に入社、その大阪電燈からもまた独立を志し、22歳で起業を果たしたのです。

選択の余地のないマイナス条件を負った松下幸之助が自分の仕事を選ぶという点では、みずからの決断に徹して人生を切り拓いたことに、私たちは大いに勇気づけられるのではないでしょうか。

「失敗したら、今度は日本一のうどん屋に」

さまざまな人が、「もしあなたが事業に失敗したらどうしていましたか」という質問をしました。すると、松下幸之助は「そうですな、そのときはうどん屋になるつもりでした。ただし日本一のうどん屋ですよ」と答えていたそうです。

松下幸之助のほんとうの顔とはいったい何なのでしょう。いろいろな顔がありましたが、多くはたゆみない努力の証(あかし)にほかなりません。

すべての肩書きの下にあるその素顔は、どんな厳しい現実をも受け入れながら、人生に失敗はないと信じ、常に希望に満ちて歩み青年の顔。仕事のやりがいを大事にして、人生を生ききることにこだわった人。

そんなイメージがぴったりではありませんか?

『道をひらく』にちりばめられた珠玉の言葉

人の生

人の歩みには大なり小なり浮沈がつきまとう。上がりっ放しもなければ、下がりっ放しもない。上がり下がりのくりかえしのうちに、人は洗われみがかれてゆくのである。

後ろを見ない

過ぎ去ったことは、もはや言うまい。かえらぬ月日にグチはもらすまい。そして、今まで他に頼り、他をアテにする心があったとしたならば、いさぎよくこれを払拭しよう。大事なことは、みずからの志である。みずからの態度である。

それぞれの花

さまざまな人があればこそ、ゆたかな働きも生み出されてくる。自分と他人とは、顔もちがえば気性もちがう。好みもちがう。それでよいのである。ちがうことをなげくよりも、そのちがうことのなかに無限の妙味を感じたい。無限のゆたかさを感じたい。

仲間

嵐のときほど、協力が尊ばれるときはない。うろたえては、この協力がこわされる。だから、揺れることを恐れるよりも、協力がこわされることを恐れたほうがいい。

勇気と実行力

いかに適確な判断をしても、それをなしとげる勇気と実行力とがなかったなら、その判断は何の意味も持たない。

敵に感謝する

われわれは、わがさまたげとばかり思いこんでいるその相手からも、実はいろいろの益を得ているのである。

道をひらく人

心配や憂いは新しくものを考え出す一つの転機ではないか、そう思い直して、正々堂々とこれと取り組む。力をしぼる。知恵をしぼる。するとそこから必ず、思いもかけぬ新しいものが生み出されてくるのである。新しい道がひらけてくるのである。

そこに答えがある

わからなければ、人に聞くことである。己のカラにとじこもらないで、素直に謙虚に人の教えに耳を傾けることである。それがどんな意見であっても、求める心が切ならば、そのなかから、おのずから得るものがあるはずである。

世の中の仕組み

多く受けたいと思えば多く与えればよいのであって、充分に与えもしないで、多く受けたいと思うのが、虫のいい考えというもので、こんな人ばかりだと、世の中は繁栄しない。

とことんまで打ち込む

仕事が成功するかしないかは第二のこと。要は仕事に没入することである。一心不乱になることである。そして後生大事にこの仕事に打ち込むことである。そこから、ものが生まれずして、いったい、どこから生まれよう。

桜咲くとき

いかに望もうと、春が来なければ桜は咲かぬ。いかにあせろうと、時期が来なければ事は成就せぬ。冬が来れば春はま近い。桜は静かにその春を待つ。

(出典:「PHPスペシャル」2014年4月号)


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