こころの栄養(連載コラム)

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第三回

「考え方のクセ」を知れば人づきあいはラクになる 田中ちひろ

田中ちひろ(たなか ちひろ)
ヒューマンスキル・アカデミー代表。25カ国籍2万人のトレーニング実績を持ち、ストレスを軽減させて個々人の本来の力を発揮させることに定評のあるグローバルトレーナー。企業または一般向けの人材養成のプログラムや講演を日英伊の3カ国語で展開。日本語の著書に『ストレスを捨てる技術』(中経の文庫)、『悩みの9割を消す技術』(ダイヤモンド社)がある。

「考え方のクセ」とは、情報のとらえ方や判断、行動などの傾向のこと。これを私は「思考傾向」と呼んでいます。人によってどんな傾向があるかは異なりますが、誰もが何かしらのクセを持っているものです。クセなので、パターン化されていて、その多くは無意識に繰り返されています。

同じ風景を見ていても、かけている眼鏡のレンズの色が違えば、見え方は異なります。たとえば黄色い眼鏡をかけている人にとっては青い色は緑に、赤の眼鏡の人には紫に見えます。「あの人とはどうも合わないな」「どうしてあんな反応をするんだろう」などと感じる相手がいるとしたら、もしかするとそれは、あなたとその人がかけている眼鏡の色が違うからかもしれません。「この人は私とは違う色の眼鏡なんだ」ということをある程度わかっていれば、必要以上に疲れることはないはずです。

ここでは、「カレイドコンパス」というテストで、思考傾向について見ていきます。どの思考傾向がすぐれているということはありません。自分の傾向を把握し、相手の傾向を推し量ることができれば、適切な振舞いや接し方をすることができ、対人のストレスをぐっと少なくすることができるのです。それぞれの思考傾向を知り、意識することで、いい人間関係が築けるようになります。

カレイドコンパス テスト

自分にもっとも近いと思う答えを選んでください。解説はのちほど!

  • 「いい行ないをした」と自分で思えるとき、あなたはそれで満足しますか、それとも誰かの意見を聞きたいですか?
    • a.自分一人で満足する
    • b.誰かの意見を聞きたくなる
  • あなたがある集まりを計画したとします。とても素敵だったと自分では思っていたところ、誰かが批判的な意見を言いました。あなたはどのように思いますか?
    • a.いや、でも結構よくやったと思いなおす
    • b.どこか間違ったのかと気になる
  • あるお店でとても素敵な服を見つけました。ちょっと奇抜で、流行とはまったく関係ないものなのですが、あなたはどうしますか?
    • a.自分が好きでいい気分になれるなら迷わず買う
    • b.まわりの反応や状況を考えると着る機会がなさそうだから買うのをやめる
  • 過去にあなたが経験した喧嘩に関して、下記の3つのうち、一番よく思い出せるのはどれですか?
    • a.相手の態度や身振り
    • b.相手の言った言葉
    • c.あなたが感じたこと
  • 新聞で、ある記事を読みました。次の3つのうち、あなたが一番よく覚えているのはどれですか?
    • a.記事の位置や写真
    • b.使われていた表現や言葉
    • c.そのとき感じたこと
  • とても楽しかった体験を思い出してください。次の3つの中で、あなたの印象に最も残っているのはどれでしょう?
    • a.そのときの映像
    • b.そのとき聞こえていた音や人の声
    • c.そのときの感情
  • 通常、あなたは自分のケア(世話)を優先するほうですか、それともまわりの人のケア(世話)を優先しますか?
    • a.自分のケアを優先する
    • b.他人のケアを優先する
  • 友達とあるパーティーに誘われていますが、当日、あなたはひどく疲れています。そんなとき、あなたはどうしますか?
    • a.友達に一人で行ってもらう
    • b.無理して行く
  • あと30分で終業時間になります。何とか自分の仕事を終えようと頑張っていると、隣の同僚が大きな問題を抱えて困っているようです。あなたはどうしますか?
    • a.まず自分の仕事を終えて、そのあとで同僚が必要とすれば話を聞く
    • b.自分の仕事を止めて、困っている同僚の話を聞いてあげる
  • 誰かの話に対して、「まず相手に話を合わせる」または「『でも』『そうかなぁ』などの反応をする」、どちらのことが多いですか?
    • a.反射的に相手に話を合わせる
    • b.とっさに反対の反応をする
  • 友達があなたに電話をしてきて、食事に行こうと誘いました。あなたがとりがちな行動は、次のうちどちらに近いですか?
    • a.すぐにOKするものの、あとで「しまった」と思うことがある
    • b.「難しいかも」とすぐには合意せず、あとで考えて返事をする
  • 友達と雑誌を見ていたら、来週の占いが載っていました。友達は楽しげにあなたの運勢を読んでくれます。あなたの反応に近いのは?
    • a.ふーん、そうなんだ、と話をおとなしく聞く
    • b.そんなのあたらないよ、と反応する
あなたの思考傾向を4つのジャンルで見てみましょう

Ⅰ評価基準(内面・外面)

評価基準とは、自分の行動やその結果に対して、何を基準に良し悪しを判断するかということです。テスト①〜③aを多く選んだ人は自分が感じることを重視する「内面評価」タイプ、bのほうが多かった人は、まわりの人の反応を重視する「外面評価」タイプです。

内面評価の傾向が強い人は、自分の意見や直感に確信を持ち、人に頼らず決断します。他人の意見に左右されにくい分、時に独善的になるかもしれません。このタイプの人を説得したり納得させたりするには、「他者からの要素も参考にするほうが、よりよい結果が生まれる」ということをわかってもらうのが近道です。

外面評価の傾向が強い人は、他人の意見に耳を傾け、周囲からの賞賛や批判に敏感です。それらに重きを置きすぎると、自分で決定を下せない状態に陥ることがあるかもしれません。このタイプの人には、意識的に褒めたり、まわりの反応を気にしすぎて萎縮していなか気を配ってあげたりするとよいでしょう。また、「あなたが思うほど人は他人のことを気にしていない」とわかると、安心してもらえます。

内面評価が強いAさんと、外面評価が強いBさんのやりとりです。

場面1

  • A「なんだか喉が渇いたなー」
  • B「あ、お水持ってこようか?」
  • A「え? あ、ありがとう」(そんなつもりじゃなかったんだけど、気をつかわせてしまった……)

場面2

  • B「この部屋、暑いね」
  • A「確かに暑いなあと私も思った」
  • B(そう言われて気にならないのかな? クーラーをつけてほしいんだけどな……)

場面1で、Aさんは単にあるがままの「事実」を述べたつもりが、Bさんは「水がほしいんだ」と(自分への)リクエストととりました。場面2では、Bさんは「クーラーをつけてほしい」というリクエストを行間に込めたつもりですが、Aさんは「事実」としてとり、そしてそれをBさんは「気がきかない」ととってしまいます。頼まれていないことは変に気を回さないAさんと、いつもまわりに気をつかうBさん。どちらがいい悪いではなく、単に思考傾向が違うだけだとわかると、ストレスは半減します。

Ⅱ五感チャンネル(視覚・聴覚・感覚)

私たちは五感を通してまわりの世界とかかわり、さまざまな情報を得ていますが、人によってよく使う五感は異なります。カレイドコンパスでは、それらを視覚、聴覚、感覚の3つに大別します。テスト④〜⑥で、あなたが選んだ回答はabcのどれが一番多かったでしょう?

aが多かった人→視覚タイプ

場所や色、人の表情や相手のジェスチャーなどに気づき、よく覚えています。頭の中で映像化できることを重要視します。早口で話し、目線は上向き、動作が多い傾向にあります。

bが多かった人→聴覚タイプ

音、リズム、トーン、音楽、などをよくキャッチします。音や言葉をよく覚えています。論理や数字にも強く、何かを説明する際にそれらをよく用いるでしょう。

cが多かった人→感覚タイプ

味覚、嗅覚、触覚の刺激、あるいは雰囲気や感情などに敏感で、よく覚えています。話すスピードはゆっくりで、目線は下向き、身体を動かすことが好きな傾向があります。

abcの3つをバランスよく使っている人は、高いコミュニケーションスキルを持っていることが多いです。同じタイプの人同士は、コミュニケーションが容易にできますが、その分、両者ともが使っていない五感チャンネルからの情報は落としがち。タイプの違いが大きい人同士では、かみ合わないことが多いかもしれませんが、その違いを理解して適切な行動をとれば、補完し合う関係になれるでしょう。

Aさん(視覚タイプ)は、夫のBさん(聴覚タイプ)に不満があります。「私がヘアスタイルを変えても彼はちっとも気づいてくれない。もうちょっと私に関心を持ってほしい」。しかし、Bさんは「そんなことない。いつも会社を出たら、家につく前に電話を入れているじゃないか」と言います。

Aさんにとってヘアスタイル(目で見てわかること)は重要なことで、それはBさんも同じであると思っているのです。しかし、BさんはAさんほど視覚の刺激を察知せず、Aさんを思っての「電話で話す」という行為が、Aさんには通じていないことに気づいていません。「相手にとってどんな行動が大切なのか」を知れば、二人の勘違いは解消されるでしょう。

Ⅲケア(自分・他人)

あなたは、まず自分のことに注意を払う傾向にあるのか、まず他人のことに注意を払う傾向か、どちらでしょう。テスト⑦〜⑨aのほうを多く選んだ人は「自分のケア」タイプ、bのほうが多かった人は「他人のケア」タイプといえます。

自分のケアを優先する人は、まずは自分自身をいい(安全な、安定した)状況に置くことに注意を向けます。それが過剰になると、他人に対するフォーカスが弱まり、「自分勝手」「不親切」とみなされてしまうかもしれません。

ただ、必ずしも他人に冷たいとか無関心とかいうわけではなく、注意の対象がまずは自分のニーズにあるだけのことなのです。また、たとえば専門職や個人レベルの高いパフォーマンスが求められる仕事の人には必要な傾向といえます。

他人のケアを優先する人は、他人のニーズにまず意識が向かいます。このタイプの人は「優しい人」「気がきく人」と好意的に受け取られる場合が多いでしょう。ただ、行き過ぎると、「いい人ぶっている」「おせっかい」などと思われる場面もあるかもしれません。

何より、自分自身へのケアが後回しになったりおろそかになったりすると、疲弊してしまいます。断ることや頼ることにむやみに罪悪感を覚えずに、時にはあえてそうした行動をとってみてもいいでしょう。

「自分のケア」タイプの人が、バランスをとるために

  • ◆自分の用事をすませたら、まわりを見渡してみる。「ついでに、他人の分も」を心がける
  • ◆子供やお年寄りなど、助けを必要とする人と接する機会を作ってみる
  • ◆「何か手伝うことある?」を口癖にしてみる
  • ◆「私、まわりにうまく気を配れないところがあるから、そんなときは指摘してもらえると助かります」など、あらかじめ伝えておく

「他人のケア」タイプの人が、ストレスをためないために

  • ◆「手伝ってもらう」「頼みごとをする」=悪いこと、ではないと言い聞かせる
  • ◆人は頼られるとうれしいもの。相手に「頼らせてあげる」と考えてみては
  • ◆できないことはきちんと断る。断らないほうが結果的に事態が悪くなることもある
  • ◆自分の意思や欲求を見失うことのないよう、「自分はどうしたいのか」「今、自分は本当にこれをやるべきなのか」と、自分自身に問いかけてみる

Ⅳリアクション(合意・反対)

新しいアイデアや提案に対して、あなたがとっさにとりがちな反応はどんなものでしょう。とりあえずうなずいて話を合わせますか、それとも相反するリアクションをとりますか? テスト⑩〜⑫aを多く選んだ人は「合意」タイプ、bのほうが当てはまる人は「反対」タイプです。

「合意」傾向の人は調和を好み、協調性があります。議論や喧嘩を避けようとします。反対の意見があるときも、言い方は控えめでしょう。ほかの人と歩調を合わせるほうが安心し、集団での活動に向いています。

「反対」傾向の人は、「え!?」「嘘(うそ)!」「そうなんですか?」「そうかな」といった反応をとります。問題提起や討論、話を深めることが好きなタイプです。あまのじゃくなところもあるかもしれません。

「合意」タイプ同士では、おだやかに話ができることが多いでしょう。一方で、刺激や変化には乏しいため、話が単調になったり表面的になったりするリスクがあります。

「反対」タイプ同士では、変化に富んだ会話ができ、話が弾みやすいでしょう。一方で口論に発展する可能性もありますが、お互いにそれを楽しむところがあるのも事実です。

「反対」タイプのリアクションは、「合意」タイプにとっては気を悪くする場合があるかもしれません。「合意」タイプは、「反対」タイプからすれば自分の意見がないように映り、話していてあまり楽しくないと思われるかもしれません。

しかし、どちらのタイプであっても、ほとんどの場合は、無意識で自動的な反応です。「合意」の反応をとるからといって賛同しているとはかぎりませんし、「反対」のリアクションをとることと実際に異議があるかどうかは別なのです。相手の真意を考えすぎるよりも、「そういうクセなんだ」ととらえれば、ストレスはぐっと減るはずです。

ここまでのすべての項目(五感、評価基準、ケア)に言えることですが、基本的に、どのタイプであっても「正す」ようなものではありません。それぞれの人に備わっている傾向に過ぎないからです。ご自身も、ほかの人も、です。「この人とは合わない」「この人が感じ悪いのは、私のことをあまり好きじゃないからだ」といった思い込みをいったん捨てて、「自分とはクセがかなり違う人なのかも」と思ってみてはいかがでしょう。思考傾向が極端に違って、一見合わないと思われる人は、実は自分の落としがちな情報を拾ってくれる人、つまり補足的な関係であることも多いのです。日々の人間関係が、もっとラクに、もっと楽しいものになりますように!

*「カレイドコンパス」あるいは「kaleidcompass」でネット検索していただければ、より詳しくお試しいただけるサイトが見つかります。ここで紹介した4項目を含む全11項目の思考傾向がわかります。

(出典:「PHPスペシャル」2016年5月号)


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