こころの栄養(連載コラム)

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第九回

相手が200%喜ぶ、たった1%の気くばり 松澤萬紀

松澤萬紀(まつざわ まき)
全日空の客室乗務員として12年間勤務する。退社後はホスピタリティー・マナー講師、CS向上コンサルタントとして活動。

「大がかりなことをしなくてもいい。ほんのちょっとのやりとりで、誰かを笑顔にすることができる。今日からできる、さりげない気くばりのススメ。

私たちは必ず、「人と人との間」で生活し、生きていかなくてはなりません。

たとえお客様を相手にする接客業でなくても、私たちは日々、多くの人に接します。すべての出来事は人を通して進められていきます。ITがどんなに発達したとしても、そもそもITを使いこなすのも人であり、人なくしては社会に存在することはできません。

私がまだ学生時代、バイト先の上司からこんな話をされました。
「人が二人以上いる場所には、争い事が起こる可能性があるんだよ」

実際そのバイト先では、アルバイト同士のいざこざが絶えず起こっていました。

なぜ人間関係で「問題」が起こってしまうのか? 「人と人との間」に争い事が起こるのが必然だとするならば、どうしたら、会社で、家庭で、争い事を起こさず、やっていけるのかを考えながら生活していく必要があります。なぜならば、「人間関係の問題」は、私たちに大きな「ストレス」をもたらすからです。

私は、人間関係を円滑にするヒントが、「誰にでも簡単にできる1%の気くばり」にあると考えています。そして、その1%の気くばりを「習慣」にすることが大切です。物があふれ、便利になった世の中だからこそ、私たちは今、改めて「人間関係」について、きちんと考えなくてはならない時期にきているのかもしれません。

きちんと自分と向き合い、相手のことを考え、「1%の習慣」として行動できるようになった先には、「人間関係」でストレスを抱えることなく、笑顔で過ごせる日々がやってくることでしょう。

ほんの小さな「1%の気くばり」が、相手の心にあたたかい風を通し、笑顔にすることもできます。

それでは、どうしたら相手に喜んでもらえる「1%の気くばり」ができるのか、一緒に考えていきましょう。

相手が喜ぶさりげない気くばり

1.好印象を与えるお願いの仕方

○○してください」という言葉は、丁寧に聞こえますが、実は「命令形」です。人の脳は、命令されると「ストレス」を感じるそうです。例えば上司に、「この書類をご確認ください」と言ったとします。言葉は丁寧ですが、これだと命令していることになります。これを、「お忙しいなか申し訳ありませんが、この書類をご確認いただいてもよろしいでしょうか?」と言い換えることで、好印象を与えるお願いの仕方になります。「申し訳ありませんが」などのクッション言葉の後に、「〜していただけますか?」という「依頼形」を加えてお願いしてみましょう。

2.「共感する言葉」で会話しよう!

ある客室乗務員仲間が、お客様からクレームを受けました。クレームの内容は、お客様が「今日の富士山、とってもキレイだね。こんなふうに見えるのは珍しいんじゃない?」とおっしゃったことに対し、「いつもですよ」と答えたからでした。もしも、「そうですね、本当にキレイな富士山ですね」と答えていたら、クレームにはならなかったでしょう。私達は、自分の気持ちを理解してくれる人に安心感を得ます。気持ちを「共感」することは大切なことなのです。

3.過程にもお礼を言う

客室乗務員時代、日本各地のお酒を、友人にお土産に買って帰ることがよくありました。お酒を渡すと「ありがとう」や「このお酒飲みたかったの」と言われることはよくありましたが、ある友人が、「わざわざ持って帰ってくるの重かったでしょう。ありがとう」と言ってくれたとき、とても嬉(うれ)しかったのを覚えています。そして、物に対するお礼ももちろん大切ですが、「過程」に対してお礼を言われることも嬉しいことなのだと気がつきました。「時間をかけてくれてありがとう」「一生懸命探してくれてありがとう」などの「過程」に対してのお礼も、喜ばれるお礼の仕方ですね。

4.「ありがとう」は魔法の言葉

ある男性の友人は、奥様と共働きです。その友人がお子さんを保育園まで送り迎えすることもよくあるそうですが、そんなとき、奥様がとても嬉しそうな満面の笑みで、「ありがとう! すごく嬉しい」と毎回言ってくれるそうです。奥様がいつも笑顔で「ありがとう」と言ってくれるのが嬉しくて、「また送り迎えしようとやる気が出ます」と話してくれました。相手が喜ぶ姿を見ると、「やる気スイッチ」が入るのですね。「ありがとう」はやる気スイッチをONにする魔法の言葉でもあるのです。

5.相手の心に響く2タッチコミュニケーション

人から何かをしてもらったときは、「ありがとう」と言いますが、私は「ありがとう」を2回以上言うようにしています。例えば、友人からプレゼントが届いたら、まずはメールや電話で「ありがとう」を伝えます。これが1回目の「ありがとう」。そして2回目は、実際にその人に会ったときに、「この間はありがとう」と伝えます。この2タッチコミュニケーションは何にでも使えます。相手が風邪(かぜ)をひいて寝込んでいたら、まずは1度目の「大丈夫?」の連絡。3日後に、「体調は良くなったかな?」と2回目の連絡。人は、自分に関心を寄せてくれる人が好きです。ぜひ、1度ではなく、2度のタッチを心がけてみてください。そのあなたの気くばりが、相手の心を優しく包み込みます。

6.1分でも遅刻しそうなら連絡を

友人のぺ・ドンチョルさんは、史上最年少で韓国の大統領から表彰されるほどのビジネスパーソンです。私よりも年上で、しかも社会で大活躍されている方であるにもかかわらず、1分でも遅刻するときは、必ずお電話をくださいます。人の脳は「?」が嫌いです。「先が見えない」ことに不安を感じるのです。1分でも遅刻は遅刻。1分くらい大丈夫と思わず、ぺ・ドンチョルさんのように、相手を不安にさせない「気くばり」は、立場にかかわらず大切です。

7.「ほめる」は最高の気くばり

シンガポールのとあるホテルに宿泊した際、日本人スタッフのHさんの接遇に感動しました。Hさんは、まだ仕事を始めて8カ月ですが、その間に40通のお礼状をいただいたそうです。Hさんの接遇は細やかで、相手のことをよく見ているのですが、とりわけすごいと感じたのは、お客様を「ほめる」技術です。私も、顔を合わせるたびにほめていただきました。「今日のお洋服、素敵ですね」「声がとってもきれいですね」「笑顔が輝いています」など、ほめられるたびに私の心は嬉しさで満たされるのでした。「ほめる」ことは相手の心を元気にする、最高の気くばりなのです。

8.笑顔は最高で最大のマジック

私が初めてラジオの生番組に出演した際、前の日から眠れないほど、緊張していました。ところが、その緊張感を一瞬にしてほぐしてくださった方がいらっしゃいました。番組のパーソナリティーの別所哲也さん。別所さんの満面の笑みに救われました。私が初めての生番組で緊張していることを知り、あたたかい「笑顔の気くばり」を心がけてくださったのです。笑顔は、自分が楽しいから笑うだけではなく、相手のために「生み出すもの」であることを別所さんから学びました。笑顔は、相手の心を一瞬にしてあたたかくする最高で最大のマジックですね。

(出典:「PHPスペシャル」2014年7月号)


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