こころの栄養(連載コラム)

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第十回

「考えすぎて動けない」はもうやめよう!
「前へ進む人」になれる10の方法 佐々木正悟

佐々木正悟(ささき しょうご)
1973年、北海道生まれ。心理学ジャーナリスト。獨協大学卒業後、ドコモサービスへ入社。2001年にアヴィラ大学心理学科に留学。主な著書に、『先送りせずにすぐやる人に変わる方法』(中経の文庫)ほか多数。

「失敗したらどうしよう」「あの人の一言はどういう意味だったの……?」
そんなふうに考えて、物事を先延ばししないための方法をご紹介します。

なぜ考えすぎてしまう人がいるか?

進化とともに体毛がなくなったり、脳が大きくなったように、人の心というものも発達してきたと考えられています。歴史的な長い時間の経過の中で、生きる、または子孫を残すのに有利な能力が、世代を超えて残ったり、磨かれたりしてきたのです。

心配性というのは、行動を起こす前によりよい手段を検討するために必要な能力なのです。たとえば「新大陸に金(きん)が見つかったようだから大航海を計画しよう」という人たちとともに船旅をするにしても、食料や薬は十分か、とか、金を採掘する技術を持った人間はいるのかなど、事前にあれこれ考えぬく能力を持った人がいなければ、大陸につく前にみんな死んでしまうかもしれません。

「考えすぎる人」というのはこのような事前の検討を重ねすぎるあまり、実行に移すことができず、そのタイミングを逃してしまう人のことをいいます。そのデメリットは言うまでもなく、「考える」という手段に重きを置きすぎて、その目的をまったく果たせないことが多くなることです。

では「前へ進む人」になるために、どのような心がけや行動が大切なのか、10のヒントをさっそく見ていきましょう。

1.「やらずにいること」が目的になっていないかを考える

最近、『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社)などのベストセラーのおかげで、アドラー心理学が有名になりましたが、その中に「目的論」という面白い考え方があります。

たとえば心配性の人が「新しい人間関係を結べない」などと言うと、普通は「心配性だから、新しい人間関係に不安を感じやすい」と思いますが、アドラー心理学では逆に、「新しい人間関係を結ばずに済ませるために、心配性という性格になっている」というのです。あなたも、何かをせずに済ませる言いわけとして「心配性」という性格を利用していないか、ちょっと立ち止まって考えてみましょう。

2.休む

休む、というのは「心配して、何もせずにいる」のとは違います。むしろ「心配することを、休んでみる」ということです。

考えすぎる、悩みすぎる人というのは概して、何もせずにいるときも、気は休まらずにいるものです。というのも、何かしようか、どうしようかと、行動を起こそうとしながら、行動を起こせずにいるからです。

行動を起こそうとすること自体を、いったん休んでみましょう。その間はもちろん、悩む必要はなくなります。

3.杞憂(きゆう)日記をつける

悩みにはまって堂々めぐりしがちな人には「日記をつける」ことをオススメします。それも、普通の「日記」ではなくて「杞憂日記」です。

友人に余計なメールを送ってしまって、もしかしたら気を悪くしているかもしれない。というようなことがあったら、そのことを「日記」に書いておきましょう。後になって、そんなことはなかったと判明したら「杞憂だった。気の回しすぎだった」と追記して、その日時も書きます。

こうすることで、どのくらい自分の心配事が的中するものなのか、また気の回しすぎでムダに悩んでしまう日数はどのくらいあるのかがわかります。

4.不安のメリットを理解する

とはいえ、考えすぎるということは、冒頭に書いたようにデメリットばかりではないのです。組織の中に楽観的な人ばかりいては、問題に対して致命傷を負いやすくなります。

また「杞憂日記」をつけてみるとわかりますが、すべての心配事が的外れではありません。大切なのは、「本当に心配するべきこと」を見分けられるようになることです。

5.考え事の整理をする

人によって、つい考えすぎてしまう事柄というのは、パターンがあります。人間関係について悩みがちな人もあれば、お金のことを不安に思いすぎる人もいます。あるいは健康のことばかり考える人もいます。心配事があればそのつど記録をつけて、カテゴリー分けしてみましょう。心配事のカテゴリーによっては、専門家に相談することで、問題がすぐに解決できてしまうこともあるからです。

6.「堂々めぐり」はチャンス

仕事術などのコンサルタントをやっていると、どんな悩み相談でも、繰り返し話を伺ううちに「堂々めぐり」が始まることに気づきます。これは相談している人も、たいてい気づきます。思い切ってやってみたい。でもうまくいくか不安だ。でも思い切ってやってみたい。というようになるのです。堂々めぐりに気づいたら、全力を注ぐべきポイントは自(おの)ずと見えてきます。

7.「やること」と「やり方」で悩むことを分けて考える

留学したいけれど、もう40歳を過ぎているし、お金もたりないし……。というふうに考えることがあったら、まず「留学したいかどうか」だけを考えます。他の条件は考えないことです。そして「本当に留学したい」となったら、次に、年齢制限の有無について調べ、それから金策を考えます。やることと、その手段の難しさを分けて考えるクセをつけるだけで、「考えすぎて動けない」のワナを脱することができます。

8.他人に頼らない

考え込んでしまうというのは、不安の裏返しであり、自信のなさの現れでもありますが、自信のある人が必ず自信のない人より物事をうまくできる、とは限りません。他の人ならもっとうまくやれるように見える、というのはほとんどの場合錯覚です。どこかで他人に頼ろうとしていると、むしろ不安が増大して、悩みが増すことになります。反対に、自分で全部やりきろうとすると、不思議と悩み志向から抜け出せるものです。

9.口にする言葉を変える

心配性の人というのは、何かにつけて「でも」と言います。心理カウンセラーがよく指摘するとおり、性格に応じた言葉づかいのパターンというものがあります。考えすぎて動けない人が、否定する言葉や逆接で会話をつなぐというのはよく言われることです。なんにせよ、行動の妨げとなるような言葉を使っていたら、自覚的にそれを別の言い回しに換えましょう。

10.悲観的な人と過ごす時間を減らす

誰しも、人間は他人の影響を受けます。そして、他人に影響を与えます。悲観的な人と考えすぎる人が一緒にいて会話していたら、自然と会話は希望のないほうへ、行動を起こさずに済むほうへと沈み込んでいってしまうでしょう。お互いに悪気はないでしょうが、悪気がないからむしろ自然とそうなるのです。交友関係を断(た)ったりする必要はありませんが、否定的な会話をする時間を短めにするのは、やる気を出すためにいいことです。

いかがでしたか? 今回の10のヒントを参考に、まずは最初の一歩を踏み出してみましょう!

(出典:「PHPスペシャル」2016年9月号)


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