こころの栄養(連載コラム)

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第十二回

松下幸之助に学ぶ
運を強くする言葉 vol.2 一歩前に踏み出すヒント 大江弘

大江弘(おおえ ひろし)
PHP研究所経営理念研究本部社会活動部部長。富山大学卒業後、PHP研究所に入社。松下幸之助の思想研究を踏まえ、国内外において会社員のみならず、大学生から高齢者まで幅広い層に向け講演、執筆活動に取り組んでいる。また、親・保護者を中心として教育問題にも力を注ぎ、行政の審議会委員を務めるとともに保育園、幼稚園、PTAでの講演等においても活躍中。

住む家はあるし食べることにも困らない。人並みの生活は何とかできているとなれば、苦労してまで新たなことに挑戦したくないと思うのも人情の一面でしょう。一方、運に見放されていると思えるほど、やることなすことうまくいかなければ、つい投げやりになるのも致し方ないことかもしれません。

しかし、時代が目まぐるしく移り変わる中、何もしなければ現状の維持すら難しいでしょう。やはり、たえず勇気をもって新たなことに挑戦する、何度失敗してもくじけずにやり直すことが必要です。

「日に新た」をみずからの指針とし、現状に甘んじることなく常に新たな挑戦をしつづけた松下幸之助(まつしたこうのすけ)。その言葉のいくつかをご紹介しましょう。

松下幸之助の言葉は、読みやすいよう一部手を加えているところがあります。

松下幸之助ってどんな人?

パナソニック(旧松下電器産業)グループ創業者。1894年、和歌山県の裕福な家庭で8人兄弟の末っ子として誕生。父が米相場で失敗し破産、尋常小学校を中退し9歳で単身大阪に出て、火鉢店、自転車店に奉公の後、大阪電燈鰍ノ勤務。26歳までに、7人の兄姉、父母が亡くなる。20歳でむめの夫人と結婚し、23歳で松下電気器具製作所を開設。終戦後の1946年11月、「繁栄によって平和と幸福を」の強い思いからPHP研究所創設。94歳で没。

  • 逆境をチャンスに変える言葉
    何の苦労も問題もない人生などありえません。次々とやってくる逆境にねじ伏せられてしまうか、それともそれをチャンスに変え、みずからの成長の糧にするか。そこに人生の成否の分かれ道があります。
  • 良心に顧みてこれが正しいと思ったら、私はそれにふさわしい勇気が湧(わ)いてくると思うんです。
    苦況に陥って行きづまると、多少ずるいことでもしてしまうのが人間の一つの姿です。でも、それでは心にやましさが生じ、真の勇気は湧いてきません。もとより困難を乗り越え、打開する力強い取り組みもできないでしょう。
  • むずかしいむずかしいとばかり考えていたのでは、道はひらけない。むずかしい中にも道はある。
    “この困難を乗り越えるのは無理だ、行きづまるのも仕方がない……"。たしかに厳しい状況かもしれません。でも、そう考えていては解決できるものもできなくなります。“やり方は必ずある"と信じ、努力を重ねたいものです。
  • 他人を責める前に、まず、みずからを強く責めなければならない。
    人は、物事が思うようにいかないと“あの人の責任だ"“社会が悪い"“運がなかった"など、他に原因を求めがちです。しかし、それでは問題は改善されません。まず自分の責任を認めてこそ良い知恵も生まれてくるのです。
  • 過去の常識をもって今後の常識を律すべきではない。
    時代は常に移り変わっています。以前は不可能だったことも、新たな発見、技術の進歩で、今では可能になっている例がたくさんあります。常識は大事ですが、それにとらわれてみずから視野を狭めてはいないでしょうか。
  • 大切なことは、うろたえないこと、あわてないことである。うろたえてはかえって進路をあやまる。
    ひとたび心を乱し、冷静さを失うと、しなくてもいいミスを重ねることになりかねません。どんな不測の事態が起ころうとも常に落ち着いて考え、判断し、適時適切に対処できるよう、心の備えを怠らないようにしたいものです。
  • 悲惨な行きづまりを打開する道は、自分で立ち上がるということ以外にはない。
    最初から人をあてにしたり、頼っているようでは、苦難は乗り越えられません。「天は自ら助くる者を助く」といいます。転んだらまず自分の力で立ち上がる。そうした姿に周囲の協力も自然と集まってくるのです。
  • 一度転んで気がつかなければ、七度転んでも同じこと。一度で気のつく人間になりたい。
    “失敗は成功の母"といいますが、それはどんな失敗からでも貪欲(どんよく)に何かを学びとろうとすればこそでしょう。学ぼうという熱意がない人にとっては、何度失敗しても同じこと。失敗が成長の糧になることもありません。
  • 車の心棒が弱ければすぐ折れてガタガタになる。人間も辛抱がなければ悲鳴をあげてグラグラになる。
    もう一歩のところで辛抱しきれず、拙速に事を運ぼうとして、結局、失敗してしまうということが往々にしてあるもの。どんな夢や目標も、一朝一夕にはなしとげられません。忍耐強く、地道に取り組むことが必要なのです。
  • 不況の時こそ、身にしみてほんとうの勉強ができるいい機会だ。
    順風満帆、楽々と行ける時には、どれほど貴重な教えを耳にしてもなかなか心に響かないもの。逆境にあってこそ、普段は聞き過ごし、見過ごしているような些細(ささい)なことからでも、身にしみて多くのことが学べるのです。
  • 思うにまかせない根本の原因は、私自身の心の中にある。
    道理に反したことを求めていませんか。偏見、私欲私心にとらわれていませんか。他者への配慮を怠っていることはないでしょうか。みずからを率直に省みて、改めるべきを改めていくなら、成るものは必ず成るはずです。
  • 努力がみのらないというときもある。しかし、つくすべき努力をつくしたい。
    努力が必ず報われるとは限りません。懸命に頑張っても思うように成果が出ないこともあります。といって何もしなければ、もとより何も得られません。やはり幸運、成果は、努力を重ねた人にだけもたらされるのです。
  • 失敗すればやりなおせばいい。やりなおして駄目なら、もう一度工夫し、もう一度やりなおせばいい。
    何事であろうと、一度や二度の失敗であきらめていたのでは、成功はおぼつかないでしょう。偉大な発明も、身近な目標の達成も、失敗にくじけず、工夫に工夫を凝らし、果敢に挑戦しつづけてこそなしとげられるのです。
  • 二位になったということは、まだ先に目標が残されている。
    懸命に努力を重ねた結果が満足のいくものでなければ非常に残念で、やる気を失うのも無理のないことでしょう。でも、見方を変えるとそれは、さらなる成長、喜びをもたらす目標がまだそこにあるということでもあります。
  • 行きづまってしまったという場合、これは新しいものを生み出す転機に立っていると考えたい。
    逆境に陥った時は、悲観すればするほど知恵が出なくなるものです。大切なのは、これは新たなアイデアを考え出す産みの苦しみと受け止め、希望をもつこと。そうした前向きな心から初めて新たな知恵が出てくるのです。
  • 人生の常として、良いことも悪いこともあろうけれど、悪いことよりも良いことの方が、ずっと多いような気が強くする。
    つらいことばかりつづくと、しょせん人生は苦しいものと考えがちです。でも、それが本当なら、今日のような人類の繁栄はなかったでしょう。原則として人生は、差し引きすればプラスになるのではないでしょうか。
  • 事実を正しく知らずにいくら対策を講じても、適切なものとはなりにくい。
    どれほど多くの知恵、人を集め、皆が心を一つにして立ち向かったとしても、対処の仕方を誤っては決して問題を解決できません。まずは事実をあるがままに正しくつかむことが大事で、そうしてこそ適切な手が打てるのです。
  • ひとたび事が大事にいたったときには、もうクヨクヨしないほうがいいと思う。
    どんなに嘆き、後悔したところで、起きてしまった問題をなかったことにはできません。現実をきちんと受け止めて腹をくくり、冷静に、これからどうすべきかをじっくり考える。結局、道はそれしかないといえるでしょう。
  • 行動に移せる言葉
    どんなに良いことでも、実行しなければ何の意味もありません。まさしく絵に描いた餅(もち)といえるでしょう。とはいえ、自分にとって初めてのこと、特に大切なこととなると、実行するにはたいへんな決意、勇気が求められます。
  • “本当に今日はよくやったな"としみじみ感じたとき、私は非常に幸せだったと思う。
    物事に慣れるほど、人は最初の頃の緊張感を失い、適当に力を抜きがちになるものです。しかしそうした取り組み姿勢でやりがいは得られるでしょうか。全力を出し切ってこそ、心から充実感を味わえるのです。
  • 熱意というものは、自分の腹の底から生まれてくるものでなければなりません。
    熱意の有無で成果は大きく変わります。とはいえ、人から熱意をもてといわれて、もてるものでもありません。その物事がいかに大切なことかをみずからしっかりつかむ。そうしてこそ難関をも打破する熱意が生まれてきます。
  • 信念とか使命感といったものを持ち続けるには、たえず自分自身をはげましていなければならない。
    信念や使命感のないところ、やる気も力強い活動も生まれません。ところが、どんなに強い信念や使命感も日々の暮らしの中で徐々に薄れてしまうもの。折にふれて思い起こし、何度もみずからに言い聞かせたいものです。
  • きみ一人というものは、社会にとって尊いものだ。その尊いきみ自身を、もっと生かさないと困る。
    人みな顔かたちが異なるように、それぞれ異なった資質や力が与えられています。いずれもその人だけに与えられた尊いもので、自他ともの幸福を実現するには、まずそれらの資質や力を十分発揮することが大切なのです。
  • 人は必要に迫られたときに、往々にして案外よい知恵がわいてくるものである。
    入念な計画を立て、人の知恵をうまく集めながら物事を進めることはもちろん大切です。しかし、切羽詰まってしぼり出したアイデアが、思いがけない成果を生むこともあります。まさに“必要は発明の母"といえるでしょう。
  • 自分の運命をいわば積極的に考え、前向きに生かしてきたからこそ、一つの道がひらけたのだ。
    いつ、どこで、どんな人間として生まれるかなど、大きな運命は変えることはできないでしょう。しかし、その与えられた運命をどう受け止め、どのように生かしていくかは自分次第。そこに幸運を招く大事な鍵があります。
  • 自らの力で道を切り開かねばならない。誰も助けてはくれないのである。
    お互いに支えあうことで成り立つこの社会。ときに他の助力を求めるのもよいでしょう。とはいえ、はじめから“誰かが何とかしてくれるだろう"と考えていたのでは成果はあがりません。心すべきは自力でやり通す覚悟です。
  • 多少の時日は要しても、心に描いた夢は必ず実現できる。
    いますぐにはたどり着けないかもしれません。しかし、どれほど遠い地であろうと、あきらめず、たゆまず、着実に歩を進めていくなら、いつか必ずたどり着けるはずです。さあ、勇気をもって、一歩踏み出しましょう。
  • 人生においてはカメのような、歩一歩のあゆみが大切だと思う。
    短いようで長い人生、全力で走りつづければ途中で息が切れます。一度にあれもこれもほしいとあくせくしても、“二兎(にと)を追う者は一兎をも得ず"で、結局、失敗しかねません。あわてず、あせらず、着実にあゆみましょう。
  • どんなことでも行動がなかったら無に等しい。行動こそがものをつくりあげる。
    不平不満、愚痴をどれほど並べたてたところで、私たちの毎日の暮らし、社会がより豊かで平和で幸せなものになることはありません。なすべきことを着実になす。その行動の一つひとつが暮らし、社会を変えていくのです。
  • 繁栄はだれしも望むところだが、しかし、これは与えられるものではない。
    人は平和で豊かな社会の中で幸福に暮らしたいと望んでいます。それではそれは、どのようになしとげられるのでしょうか。“国が何とかしてくれる"“会社が与えてくれる"。いえ、お互いの努力でこそ実現するものなのです。
  • これはこんなものだろうとみずから限界をつくってしまえば、一歩も前進することはできない。
    これ以上速く走れないだろう、泳げないだろうと言われていた記録が、次々に更新されていきます。何事においても、“もっとできる、やれるはずだ"という強い思いが、やる気を高め、さらなる進歩向上をもたらすのです。
  • 的確な判断をしても、それをなしとげる勇気と実行力がなかったら、その判断は何の意味もない。
    物事を確実になしとげるためには、折々の的確な判断が不可欠です。とはいえ、どれほど天与の才能があり、常に正しい判断ができる力を備えている人であっても、果敢に挑む勇気、実行力なくして成果は出せません。
  • 何事をなすにも機会をとらえるということはきわめて大切である。
    なかなかチャンスが巡ってこないという人がいます。しかし、チャンスは皆に等しく訪れるもので、それが目の前にあるのに見逃しているだけかもしれません。お互い、チャンスをつかむ準備を怠らないでいたいものです。
  • よい考えでも、実行にうつそうと考えているうちに周囲の情勢が一変して時機を失いかねない。
    どんなことにもタイミングというものがあります。それを誤ると、どれほどすぐれた考えやアイデアも失敗に終わりかねません。“思い立ったが吉日"というように、よいことは即断即行、時機を逸さず実行したいものです。
  • 力強い活動をするには、まず自らの心に問うて、やましいところがないことが大切だと思う。
    何をするにしても、後ろめたい気持ちがあると、人にどう思われるか、世間から批判されはしないかと気にかかり、思い切って取り組むことができません。“何が正しいか"に従ってこそ、胸を張って活動できるのです。
  • 真に充実した人生をおくるためには、やはり人生に一つの目標をもつことが大切ではなかろうか。
    何となく毎日を過ごして一生を終えるという生き方もあります。でも、そこに十分な幸せや生きがいが感じられるでしょうか。尊いお互いの人生。自分なりの志なり目標をもって生きてこそ、満ち足りた人生が得られるのです。

(出典:「PHPくらしラク〜る」2012年11月号)


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