こころの栄養(連載コラム)

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第十三回

松下幸之助に学ぶ
運を強くする言葉 vol.3 人との絆を活かす 大江弘

大江弘(おおえ ひろし)
PHP研究所経営理念研究本部社会活動部部長。富山大学卒業後、PHP研究所に入社。松下幸之助の思想研究を踏まえ、国内外において会社員のみならず、大学生から高齢者まで幅広い層に向け講演、執筆活動に取り組んでいる。また、親・保護者を中心として教育問題にも力を注ぎ、行政の審議会委員を務めるとともに保育園、幼稚園、PTAでの講演等においても活躍中。

お金はたしかに大切です。しかし、お金さえあれば幸せでしょうか。地位や名誉は、達成感、満足感などを与えてくれます。では、地位や名誉が高いほど幸せなのでしょうか。

悩みがあれば共に悩み、悲しいときは共に悲しみ、またうれしいときには共に喜んでくれる。さらに折にふれて厳しい注意、叱責(しっせき)や温かな励ましの言葉を投げかけてもくれる。そうした家族や友人をはじめ、縁あって身近にいてくれる人との確かな絆(きずな)こそが、お互いの人生を支え、幸福に導いてくれるのです。

松下幸之助(まつしたこうのすけ)自身、みずからの人生においてさまざまな人との縁に恵まれたことに感謝し、その人たちとの絆をとても大事にしていました。そんな松下幸之助の言葉をご紹介しましょう。

松下幸之助の言葉は、読みやすいよう一部手を加えているところがあります。

松下幸之助ってどんな人?

パナソニック(旧松下電器産業)グループ創業者。1894年、和歌山県の裕福な家庭で8人兄弟の末っ子として誕生。父が米相場で失敗し破産、尋常小学校を中退し9歳で単身大阪に出て、火鉢店、自転車店に奉公の後、大阪電燈鰍ノ勤務。26歳までに、7人の兄姉、父母が亡くなる。20歳でむめの夫人と結婚し、23歳で松下電気器具製作所を開設。終戦後の1946年11月、「繁栄によって平和と幸福を」の強い思いからPHP研究所創設。94歳で没。

  • お陰様だと思える言葉
    自分の力だけで生きている人は一人もいません。生きるうえで欠かせない水や空気、食べ物などすべて天与のもの。また仕事や家庭も他の助力がなくては成り立たないでしょう。私たちは多くのものや力のお陰で生きているのです。
  • 偉い人ほど世の中がよく分かり、世の偉大さというものが分かるから謙虚な気持ちになってくる。
    “実るほど頭の下がる稲穂かな"。これは学識や徳が深まるにつれて自分の無知が分かり、謙虚になるということを喩(たと)えた言葉です。ただ年を重ねるのではなく、見識を高めていく。そこから幸せをもたらす謙虚さが育(はぐく)まれます。
  • お互いに温かい寛容の心をもって接し合うことが、この世の中を明るく暮すために一番大事なこと。
    些細(ささい)なことでいさかいになり、ときになぜか依怙地(いこじ)になって、お互いの関係をこじらせてしまう場合があります。難しいけれど、気に障(さわ)ること、腹立たしいことでも広い心で許し合う。それが共に幸せに暮らすコツだといえるでしょう。
  • 誇りが増長して他を蔑視(べっし)するようなことがあってはすでに破滅の一歩である。
    誇りをもつことは大事です。誇りは自信となり、そこから勇気が湧(わ)き、成果も生まれてきます。しかし、それも度が過ぎれば傲慢(ごうまん)になり、他を軽視しかねません。それでは協力し合えず、成果も出ないでしょう。
  • 叱ってくれる人をもつことは大きな幸福である。
    叱られるのは嫌なもの。とはいえ、叱るほうにも強い思いが必要で、最近は嫌われてまで叱りたくないという人も少なくないようです。叱られて初めて気づくことがたくさんあります。叱ってくれる人は、実にありがたい人なのです。
  • 孝心の厚い人は、どこでどんな仕事に携わってもおそらく間違いのない人である。
    この世に生を享(う)け、一人前になれたのは、誰より父母のお陰です。そのありがたさを知り、恩に報いようという孝心のある人は、信頼できる人でしょう。人からの協力も得られやすく、大いに活躍するに違いありません。
  • 心の豊かさというものは、お互いの心一つで即座に生み出すことができる。
    人間関係にあって大切なのは、礼節、謙譲、感謝、さらに自他相愛の精神など、いずれも自分の決意次第で高めることができるものばかり。それらが人と人との温かな交わりを生み、人の心を豊かで幸せに満ちたものにするのです。
  • あれも大事なればこれも大事である。あの考えにも一理があれば、この考えにも一理がある。
    自分の主義主張が、全面的に正しいとは限りません。物事にはいろんな見方があります。他の人の考え、意見にも正しい点、良い点が必ずあります。積極的に受け入れ、活(い)かし合いたいものです。
  • 知らないことはたずねること。たとえ分かっていると思うことでも、人にきいてみることである。
    分からなければ調べてみる。調べて分からなければ人に尋ねてみる。また、分かっていることでも、何かにとらわれ勘違いしているかもしれないと、念には念を入れて人に問うてみる。そうした姿勢が繁栄を生み出します。
  • ほんのちょっとした物事にもありがた味を見出(みいだ)すことができれば、それは大きな力になろう。
    愚痴や不満で心を暗くしていては、良い考えは浮かびにくく、思い切って事にも当たれません。些細なことにもありがたいと思えてこそ、たえず心が温かさや喜びに溢(あふ)れ、前向きに力強く物事に取り組んでいくことができます。
  • 喜びを知る人というのは、非常にしあわせな人だ。
    口を開けば不平不満。こんな悲しく不幸なことはありません。たしかに思うにまかせないことも多い日々ですが、私たちにはそれ以上の恵みが与えられています。それに気づきさえすれば、毎日が感謝と喜びで満ちてきます。
  • 過ぎたる自己主張は、混乱を招くもの以外のなにものでもない。
    “自分のこの考えは絶対正しい"。そう思えることもあるでしょう。とはいえ、それを一方的に主張するだけでは折り合いがつかず、混乱を招くばかりです。お互いに尊重し合い歩み寄って、よりよい調和の道を求めましょう。
  • 人生の折々に多くの指導や助言、協力をいただいたことが、今日のぼくをあらしめている。
    ともすると人は、自分の力だけで成功したと思いがちです。しかし、本来自分一人では何一つなしとげることができません。成果が大きければ大きいほど、それだけ多くの人の助力があったことを忘れないようにしたいものです。
  • “ありがとう"“お陰様で"のひとことが、どれほど人の心を豊かにしていることか。
    人に何かしてもらったらお礼をいう。当たり前のことですが、そのちょっとしたひと言がお互いの心と心を結びます。心で思っているだけでは伝わりません。もっと意識して、感謝の気持ちを言葉にあらわしたいものです。
  • どんな物にも、それをつくった人の魂がこもっており、それだけの高い価値を持っている。
    無駄にしていいものなど何一つありません。水道の水の一滴、広告のチラシ一枚……。すべてがお互いの労作の成果です。そのことをよく理解するなら、あらゆるものにありがたさが感じられ、おのずと大切に扱うようになります。
  • 人間すべてが自己のことばかり考えていたのではいらざる対立や争いが生じ、社会は混乱してしまう。
    自分だけ幸せになろうとする人ばかりでは、社会は繁栄しません。自他共の繁栄を目指し、「与えられる前にまず与える」「十もらえば十一返す」という心がけの人々が相寄ってこそ、お互いの幸福ももたらされるのです。
  • お互いに不安や怒りで心が暗くなったとき、感謝の心を忘れていないか自問自答してみる。
    人間関係に悩み、失敗で落ち込むなどということが少しでも重なると、人はとかく悲観的になり、希望を失いがちです。お互い恵まれていることのほうがより多いはずです。視点を変え、心新たに物事に取り組みましょう。
  • よく考えてみると、幸、不幸の両面があるということが、結局は幸福なのかもしれません。
    幸運に恵まれたとき、最初は心からうれしく思い、感謝していたのに、だんだんとそれが当たり前になってくると、感動も喜びも薄れてしまうものです。ときには少々嫌なことがある。だから、喜びやうれしさがより大きくなるのです。
  • 絆を大切にできる言葉
    人に限らず、物や動物、故郷など、さまざまなものと人は絆を結び、その絆を通して、生きがいや勇気、自信、励ましなどを得ています。絆は単なるつながりではありません。お互いの人生を幸せへと導く道標だといえるでしょう。
  • ほめられればうれしくもあり、自信もつく。意欲も起こって、成長への励みともなる。
    誰にでも必ず長所があります。それを見つけ、ほめ合うよう心がけましょう。ほめられて気分を害する人はいません。ほめるということは人間関係をスムーズにし、お互いを強く結びつける絆、意欲を高める力となるのです。
  • 人間は本来互いにゆるしあい、睦(むつ)みあって、ともに幸せになっていくのが原則ではないか。
    人間は空を飛べないと決めてかかっていたならば、飛行機はできなかったでしょう。人間は幸せになれないと皆が考えれば、そうなるでしょう。本来人間には慈しみの心があり、必ず幸せになれるという見方をしたいものです。
  • お互いに、縁あってこの世に生まれてきた。そして、縁あっていろいろの人とつながりを持っている。
    偶然出会ったようでも、縁の力によって出会うべくして出会っています。自分の意志で入った趣味の会だとしても、縁あればこそでしょう。こうした縁があったことを謙虚に喜び合い、確かな絆にまで強めていきたいものです。
  • 立場立場で、まず人の和ということを考えなければならない。そうして衆知も活かすことができる。
    それぞれ立場を異にしても、いうべきことはいい合う。ときには意見が一致しないこともある。しかしそれで争うことはせず、和やかな談笑のうちに事が進んでいく。こうした姿でこそ、衆知が活き、お互いの繁栄、幸福が実現するのです。
  • 人間は、疑いの気持ちで接すればそのように反応し、信頼の気持ちで接すればそのように反応する。
    相手が家族であれ友人であれ、信頼されていない、当てにされていないと思えば、協力しようという気にはなれず、それどころか自分も相手を信頼しなくなるのが人情でしょう。大切なことは、まずお互いに信頼することです。
  • 競争の激しさのあまり、憎しみやねたみを根にもってはならない。根本は社会の繁栄にある。
    ライバルに対し、ときに憎しみやねたみなどの感情を抱いてしまうのも人間の一面です。とはいえ、切磋琢磨(せっさたくま)できるそうした相手がいて初めて自分の成長があります。ライバルがいてくれることに、心から感謝したいものです。
  • 助け助けられながら生きねばならぬこの世の中である。人の心が砂漠の如(ごと)く荒れ果ててはたまらない。
    他人への思いやりなどなく、お互いにねたみやひがみ、憎しみをもって接し合うことほど不幸なことはありません。大切なのは慈しみ、愛し、配慮し合うこと。豊かさも、幸せも、心の持ち方一つにかかっています。
  • 自分一人だけの幸福というものはあり得ない。幸福は、もともとみんなにつながっている。
    思うように成功を収めたり、何か希望が叶(かな)ったとしても、周囲の人々が不幸に陥っていたのでは、素直に喜ぶことなどできないでしょう。身近な人はもとより、すべて人の幸福の高まりがあってこそ、自分の幸福もあるのです。
  • いろいろな色が入りまじってはじめて、美しい色、味わいのある豊かな色ができる。
    快活な人がいれば、物静かな人がいる。思い切りのいい人がいれば、慎重な人もいる。そこに優劣はありません。いろんな人がいて、それぞれの良さを生かし合ってこそ、すべての人がイキイキ暮らせる世の中になるのです。
  • 他人が困れば自分も困る。自分が困れば他人も困る。それが世の中、世間というものである。
    皆が深くつながり合い、影響し合っているのがこの社会です。まるでそれは、一人が転んだだけで全員が将棋倒しになるようなもの。何事も、決して他人事ではありません。困っている人にはすすんで手を差し伸べましょう。
  • 思案に余ったときには、一人だけで悩み過ぎずに他の人に相談し、意見を聴くことを心がけてきた。
    どうすればいいか分からない。そんなときは、自分のカラに閉じこもらず、素直に謙虚に人に尋ねてみることです。きっと家族や友人、周囲の人などから多くの助言が集まり、思いがけない気づきやヒントも得られるに違いありません。
  • 自分の欲望を節してでも他のために働きうるところに、人間としての値打ちがある。
    犬や猫などの動物は、しばしば仲間を追い払ってでも餌(えさ)を多く取ろうとします。一方人間は、自分は我慢してでも食料を分け合おうとする面が少なからず見られます。こうした利他の精神こそ、人間のすばらしさではないでしょうか。
  • 人々に喜びを与え、世の向上、発展を約束するものであれば、勇気凛々(りんりん)としていくことができます。
    自分の行なっていること、またこれから行なおうとしていることが、自分だけのためであれば、何となく気が引け、言動も力弱いものになりがちです。世のため人のためと考えればこそ、思いもかけない知恵、力が出るのです。
  • 皆が十のサービスを受けて、九しか返さなかったら、社会はだんだん貧困になってしまう。
    社会生活を送るかぎり、誰もが他に何らかのかたちでサービスをし、また逆に多くの人からサービスを受けています。このサービスのし合いを、日に新たに高めていくなかでお互いの信頼が深まるとともに、さらなる繁栄が生まれます。
  • 分からない世の中を、みんなに教えられ、手を引かれつつ、一歩一歩踏みしめて行くことである。
    分かったようで分からないのが人の世というもの。それを分かったつもりで無闇(むやみ)に歩けば、壁にぶつかったり穴に落ちたりしかねません。お互いに手を携え、助け助けられつつ歩んでこそ、絆は強まり、幸せに行き着くのです。
  • 熱心で誠意ある私心のない態度は、おのずと周囲の人びとの心に響き協力を得ることができる。
    人の心を動かすのはまず熱意。人の信頼を得るのは、誠意ある態度です。もとより自己主張ばかり、私利私欲で動いているような人には、誰も手を貸したいとは思いません。協力が得られるかどうかは自分の心がけ次第です。
  • 言葉遣いひとつにも、周囲の人たちの気持ちを汲(く)んだ、礼儀作法にかなったものが求められる。
    「親しき仲にも礼儀あり」といいます。当然ちょっとした知人であればなおのこと、言葉遣いや挨拶(あいさつ)一つ、ふとした態度にも十分に注意を払い、礼儀を尽くしたいもの。礼儀は人間関係の潤滑油です。大切にしましょう。

(出典:「PHPくらしラク〜る」2012年12月号)


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