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公開日:2018.04.27

"手に職"IT女子は少数派?池澤あやかさんと考えた

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誰もが日常的にスマホやパソコンを使いこなす現代社会。IT業界にも、職業としての男女差はほとんどありません。そんななか、世の中に女性プログラマーって、どれくらいいると思いますか? 情報処理推進機構(IPA)が発表した「2017年度IT人材白書」によると、Web系を中心に25%という数値。今後2020年までには30%にまで増加するといわれています。

男女差のない職業であるにもかかわらず、いまだ少数派のプログラマーをはじめとする女性エンジニア。そこで今回は"ガチでギーク(※)なプログラマー"としても活躍する、タレントの池澤あやかさんにインタビュー! チエネッタ編集部に寄せられた「あるある」(都内IT企業に勤める女性エンジニアにアンケート実施)とともに、"手に職"IT女子の実態を紐解いていきます。

※コンピューターやインターネットの技術に熱心で、造詣が深い人たち

池澤あやかプロフィール

タレント/プログラマー。2006年の第6回東宝シンデレラオーディションで審査員特別賞を受賞、女優としてデビュー。芸能活動を続けながら慶應義塾大学環境情報学部(SFC)に入学し、プログラミングと出会う。現在は、プログラミングができるタレントとして活躍中。

テーマ1 なぜ、"手に職"IT女子になったの?

写真:なぜ、

<"手に職"IT女子あるある その1「きっかけ」編>
・図工や美術が好きで、ものづくりに関わりたかった
・小中学生の頃は理科が得意だったので理系に進もうと思っていた
・ブログサービスもSNSもない時代、ブログも素材から自分でつくっていてそのまま業界へ

――まずは「プログラマーになったきっかけ」について。こうした「あるある」が寄せられていますが、池澤さんはいかがでしたか?

写真:池澤あやか

私は中学生から芸能活動をしていたので、将来もこの道に進むのかなとなんとなく考えてました。図工は好きでしたが、両親はいつまでもWindows90ナントカを使っているくらいで(笑)、家庭のITリテラシーは低めでした。

「ブログも素材から自分でつくっていて~」という話は共感できます! 高校生のときWebサイトをつくる必要にせまられて、初めてHTMLを書いてみたら「おもしろいな」と感じたんです。当時は今で言うSNSをやる感覚でかわいくデコってカスタムする「ミニブログ」がブーム。みんなHTMLタグを直打ちしていたので、アメブロ世代の子はHTMLになじみがあるんじゃないでしょうか。そのあとTwitterが出てきても「これミニブログじゃん」という感じで、新鮮さはゼロでしたね(笑)

――プログラミングをはじめたのは大学生からと聞きましたが、高校時代にある程度のリテラシーが備わっていたんですね。

写真:池澤あやか

はい、本格的にプログラミングを習ったのは大学の授業でしたが、Web制作の内容にはすんなりと入っていけました。またその頃、当時の先輩が主催していたWeb制作講座に参加して「これはもしかしたら将来役に立つかも」と思ったんです。そこで授業の延長のような気持ちで、Web制作会社でのアルバイトをはじめました。

写真:はい、本格的にプログラミングを習ったのは大学の授業でしたが、Web制作の内容にはすんなりと入っていけました。

――その頃からプログラマーをめざしていったのですか?

写真:池澤あやか

プログラマーというか、将来Web制作のスキルを持っていたほうがいいなと思ったんです。タレント業との両立を鑑みて、時間の融通が利くリモートでの仕事ができればと。そう考えはじめた頃にちょうど大学でWeb制作に触れるようになったので、このままスキルを身に付けようと思って。まさに「計画通り」です(笑)

――プログラマーやエンジニアの方のお話を聞いていると、Webサイト制作を「ものづくり」としてとらえていると感じるのですが、池澤さんはいかがでしょうか?

写真:池澤あやか

私も手を動かしてWebサイトをつくるところからスタートしたので、ものづくりの一環という意識はあります。またプログラミングというか電子工作をする方って、はんだごてを使うフィジカルなモノづくりの方も多いんです。私も大学では電子工学とプログラム両方使うゼミに所属していたので、マイコン(マイクロコンピュータ)を使って簡単なロボット制作もしていましたよ。

テーマ2 "手に職"IT女子の仕事、職場ってどんな感じ?

写真:

<"手に職"IT女子あるある その2「職場」編>
・男女差を感じない仕事だけど、マークアップ(※)は肉体労働
・案外コミュニケーション能力が大事
・自分で新しい情報つかみにいかないとどんどん世の中に置いていかれる

※ウェブサイト制作で、HTMLやXMLなどのタグ(マークアップ言語)の文章を記述すること

――池澤さんはプログラマーとして、どんな働き方をされているのですか?

写真:池澤あやか

最近はチームでの仕事が多いのですが、一人で黙々とする作業が好きです。「マークアップは肉体労働」って、まさにそう思いますね。マークアップは肉体労働かつ単純作業なので、私はアニメ見ながらやったりしてます。プログラムを書くときは考えなくてはいけないので見ませんが、私はマークアップ、むしろアニメを見ながらできるので結構好きです(笑)。仕事はタレント業と半々くらいなのですが、一日でもパソコンに触れていないと業務で使ってるメッセンジャーがすぐに溜まってしまうので、スキマ時間を見つけてタスクをチェックしています。

――現在はフリーランスで働いていらっしゃるのですか?

写真:池澤あやか

スタッフのほとんどがフリーランスで構成されている会社で、私もいちフリーランスとして関わっています。以前は個人での受注が多かったので家でも仕事しましたが、ついさぼってしまうので(苦笑)、会社に行くことが多いですね。リモートワークも許可されていますが、会社にいたほうが何かあったときすぐに周囲に聞けるのでやりやすいです。一方で、こうした取材などがあって、外で作業することを考えるとリモートワークOKの体制はありがたいですね。

写真:スタッフのほとんどがフリーランスで構成されている会社で、私もいちフリーランスとして関わっています

――仕事中のコミュニケーションについてはいかがでしょうか?気をつけていることはありますか?

写真:池澤あやか

「案外コミュニケーション能力が大事」とあるように、プログラマーにとってコミュニケーション能力、特に"すり合わせ力"は必須だと思います。意識のすり合わせをしておかないと、間違った実装をしてしまうことがあります。特に、スケジュールのすり合わせは本当に大切ですね。納品日のスケジュールミスで「デスマーチ(※)」が起きてしまいますから......。あと、"見積もり力"も必要だと思います。個人事業主としての仕事では、私の"スケジューリング力"と"見積もり力"がまだ低く、つらいときがあります。

※受託のソフトウェア開発など、プロジェクト進行の過酷な労働状況になること

――プログラマーは常に最新情報のキャッチアップも求められますが、勉強会等には行かれますか?

写真:池澤あやか

勉強会にはあまり行かないのですが、フリーランスとしてさまざまなプロジェクトに関わっているので実際の仕事から学ぶことが多いですね。フリーランスだからこそ幅広い見聞が得られますし、現場ごとに「なるほど、この業界の最新トレンドはこれなんだ」と勉強させていただいてます。

テーマ3 儲かる? モテる? "手に職"IT女子のホンネ

写真:儲かる? モテる? 

<"手に職"IT女子あるある その3「プライベート」編>
・エンジニア同士で付き合う、結婚するケースが多い
・プライベートで役に立つこともあるスキルなので、ありがたがられることが多い
・入力作業からクリエイティビティーなものまで、何かしら仕事以外の需要もあると思います

――「エンジニア同士で付き合う」という話、池澤さんの周囲ではいかがですか?

写真:池澤あやか

よく聞きます。仕事の愚痴を理解してもらえたり、肌感覚や話が合うんだと思います。あとエンジニアの夫婦がアプリで家事を分担したら、夫が家事をしてくれるようになったという記事を見たことがあります。同じ業種だからそういうことができるんだなと。

プログラマーは仕事的な意味でモテるのではないかと思います。どこも人手不足と聞きますし、企業にお邪魔するときも「Androidに強いエンジニア知りませんか?」とかよく聞かれます。人材の移動も多い印象ですね。スキルさえあれば給料などの条件が良いところに行けますし、会社に属していてもフリーランスっぽい職業ですよね。

――プログラマーのスキルが日常生活に役立つことはありますか?ご家族やお友達に頼られるとか......?

写真:池澤あやか

スマホやパソコンが壊れたときにありがたがられます。「急におかしくなっちゃって!」と言うので「一回電源落としてみようか?」という流れはあるあるですね(笑)。

テーマ4 "手に職"IT女子の未来はどーなる?

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――お話を伺っていると、男女差のない仕事だとあらためて感じます。2017年には、2020年度小学校でのプログラミング教育の必修化が発表されました。これは女性プログラマーの人口増加にどのような影響があると思いますか?

写真:池澤あやか

日本では高校で文理選択を決めなくてはいけなくて、女性プログラマーが少ない一因という気もします。「絶対理系の勉強をしたほうがいい」というわけではありませんが、文系と理系では周囲の環境が全然違います。私は文系出身だったので大人になってプログラミングを学んだとき、「数学ってここで使うんだ、もっと勉強しておけばよかった!」と後悔しました(苦笑)。

最初のあるあるにも「小中学生の頃は理科が得意だったので理系に進もうと思っていた」とあったように、プログラミングが必修化して、理系に興味を持つ子が増えれば、結果的に女性プログラマーが増えるかもしれませんね。

――最後に、池澤さんが考えるプログラマーの魅力とは何でしょうか?

写真:池澤あやか

自分のスキルを生かしてリモートワークができる点は、プログラマーの大きな魅力です。こうした働き方は今とても注目されていますし、今後ますます需要があると思います。また、国をまたぎやすい点も大きいですね。英語が苦手でもプログラミング言語はほぼ世界共通ですから、実際に海外に転職する人も多いです。

専業主婦が一般的だった時代から、現在では共働きが当たり前になってきました。妊娠・出産を経験してブランクができても「自分にはスキルがあるから大丈夫」と自信が持てるので、エンジニアは女性にはいい職業だと思います。私も将来はできる限りずっと、エンジニアとしての仕事を続けたいと思っています!

早くからタレント活動をはじめる傍ら、遊びや人のつながりから自然に"手に職"を身に付けた池澤さん。もちろんお仕事にできるほどのスキルや考え方は一朝一夕のものではないですが、IT女子であることも自然な流れで、今後は池澤さんのように本業と分けつつも上手にやりくりする、"手に職"IT女子が増えていくのではないでしょうか。

女性の社会進出が当たり前になり、働き方改革が注目を集めるなか、IT業界の景色もますます変わっていきそうですね!

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チエネッタ編集部

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