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更新日:2025.04.25

連載ネットのいろは

vol.63

Web3.0(Web3)とは何か? 基本の解説とその未来 現在のWeb2.0と何が違うのか

Web3.イメージ

「Web3.0」(ウェブサンテンゼロ)や「Web3」(ウェブスリー)という言葉をご存じでしょうか。
これはブロックチェーンを活用した次世代インターネットの概念を示すもので、「メタバース」や「NFT」といったサービスとも関連しています。
現在のインターネット(Web2.0)からどのように仕組みが変化するのでしょうか。
この記事では、Web3.0の基本知識やその特徴を紹介します。

1Web3.0とは

みなさんはふだん動画を見たり、リサーチのために検索したり、ネットショッピングをしたり…さまざまな用途でインターネットを利用していますよね。
2000年代半ばからはスマートフォンが普及し、SNSが広がったことでインターネットはより身近になりました。
私たちがこれらで利用しているサービスは巨大なIT企業が提供するプラットフォームであることが多いのはご存じでしょうか。現在のインターネットの在り方は、こうしたプラットフォーム上で、企業の手によって中央集権的にあらゆるデータが管理・運用される仕組みが大部分を占めています。現在も続く、このネット環境は、「Web2.0」と呼ばれています。

これに対して、分散型であり、次世代インターネットとして注目されているのが「Web3.0」です。
「Web3.0」とは2014年、英国のコンピューター科学者、ギャビン・ウッド氏が提唱したインターネットの概念で、従来とは違うブロックチェーン技術に基づく「分散型(非中央集権型)のインターネット」をさします。

ブロックチェーンの技術を活用することで、ユーザー自身の手でデータを管理・運用でき、ユーザー同士が直接やりとりできるようになります。主要なプラットフォーマーのサービスを経由せず、それぞれが所有し分散管理できるため通信やデータ保存の際に、Web2.0のような中央集権的なインターネットの仕組みから解放されるわけです。

例えば、ネットショッピングをする際、これまではプラットフォーマーが用意したコンテンツを仲介として、個人情報や決済のためのクレジットカード情報などを入力する必要がありました。Web3.0では、ユーザーが小売店や生産元と直接、取引ができるようなイメージです。
さらに、仮想空間上でデジタルデータを暗号資産(仮想通貨)でやりとりする、NFTを活用するなどWeb3.0のブロックチェーン技術はメタバースの発展にも貢献すると期待されています。

図解 Web1.0からWeb3.0の流れ

Web1.0、Web2.0、Web3.0の違い
  Web1.0 Web2.0 Web3.0
特徴 ホームページ閲覧が主流で情報を受け取る一方向型 SNSが発展し情報を共有することが主流な双方向型 データ等の管理が企業に集約されない分散型
年代 1990年代~2000年代前半 2000年代後半~2010年代 2020年代~
情報の流れ 一方通行 双方向 分散型
端末 パソコン パソコン+スマートフォン パソコン+スマートフォン+XRデバイス

■関連記事 XR(クロスリアリティ)とは? VR・AR・MRの違いやXRの将来性について
https://flets-w.com/chienetta/technology/cb_what-is-xr.html

2Web2.0から3.0へ、管理されない分散型とは

「Web3.0」で重視されているのは、「管理されない」インターネットの世界です。
「分散型」インターネットとして、大手のプラットフォームではなく、自律的なネット上でのやりとりを実現できるWeb3.0は、なぜユーザーが自主管理することが求められているのでしょうか。
インターネットが進化するにつれ、やり取りされるデータ量は爆発的に増えました。当然、大量の個人情報が含まれています。そこで懸念されるようになったのがデータの取り扱いです。
特定企業に個人情報をはじめ膨大なデータが蓄積され、集中してしまうことへの懸念が出てきました。多数のデータを特定の場所に集約することは、セキュリティー上、ハッキングなどのターゲットとなりやすく、大きなリスクにつながりかねません。
サービス利用の側面ではどうでしょう。例えば動画配信やショッピングサイトなどでは自分の投稿したコンテンツ(動画)が数多く存在し、ポイントが多く溜まっていたとします。企業側の都合により、急にサービスが終了してしまえば、これまで蓄積したコンテンツやポイントを利用できなくなることがあります。
事前に、利用規約として説明されていても、多くのユーザーがサービスを継続できなくなり、データを失うようなことも起こりえるわけです。

こうしたさまざまな懸念をWeb3.0では、ブロックチェーンを使ってユーザーが自律分散的にデータを管理できるようにして解決を図ろうとしています。

各個人単位でデータを所有し、自ら権限を有するように変化することで、情報の管理以外に、決済などにおいても中間マージンの圧縮にもつながります。場所や力にも縛られず、情報発信や売買などができるようになる仕組みになります。

3Web3.0で広がる未来は?

Web3.0で広がる未来イメージ

「Web3.0」はまだ浸透度が低く発展途上である分、多くの可能性を秘めているともいえます。いったい、どのような未来が開けるのでしょうか。
例えば、医療の分野においては、電子カルテを暗号化し、自宅にいながらメタバースを使用したVR空間での診察が可能となる「メタ病院」「バーチャルホスピタル」の実現に向けた取り組みが始まろうとしています。
教育分野なら、日本にいたままでも、海外の学校の授業に出席することができ、国際交流を図ることも容易になります。また、金融関係なら、株式や保険以外に、NFTのアート作品や高級車などの非金融資産にも投資対象が広がる可能性があるかもしれません。
メタバースなどのサービスを利用することで、これまでのインターネットの枠組みを飛び出し、場所や時間に縛られないネットの活用ができるのです。
アイデア次第でさまざまな分野での活用が進められれば、上記のようにさらに世界を広げることができ、今の生活からは想像できない未来を構築するかもしれません。新たなサービスやソリューションの登場が期待されています。

44つのキーワードから見るWeb3.0

Web3.0はすでに実用化されているサービスもあります。Web3.0を知るうえで、これだけはおさえておきたいキーワード4選をみていきましょう。

ブロックチェーン

「ブロック」と呼ばれる単位で取引データを管理し、過去のブロックと時系列でチェーンのようにつなぐことで、取引記録を複数の参加者間で共有する技術です。 ブロックが一度チェーンに組み込まれると、取引記録の後からの改ざんが実質的に不可能となるため、データの信頼性や透明性が保たれます。Web3.0においては、根幹ともいえる技術です。
暗号資産(仮想通貨)の1つであるビットコインを実現するための技術として開発されました。人の手を介することなく、契約や取引などを自動化できるスマートコントラクト、食品の産地から製造過程、流通・消費までの記録が追跡できるトレーサビリティ確保への応用などの分野で取り組みが進んでいます。
また、複数の端末が相互に通信するピア・ツー・ピア(P2P)ネットワークを使用するため、システムがダウンしにくいという特徴があります。

サーバー型とピアツーピアの違い

NFT

NFTとは「Non-Fungible Token」の略称で、「代替不可能なトークン」という意味です。従来のデジタルデータは容易にコピーや改ざんができたため、希少価値はありませんでした。NFTは「代替不可能なトークン」のため、唯一無二の価値を持っているという利点があります。これもブロックチェーンの技術を活かしたもので、著作権情報や所有権情報が記録されることで、これまでデジタル上に多く存在していたアート作品、ゲームやマンガなども希少価値を持たせることが可能になっています。

DAO(ダオ)

「Decentralized Autonomous Organization」の略称で、「分散型自律組織」を意味しています。特定の代表者が存在せず、インターネットを介して参加者が主体的に共同管理・運営していく組織のことです。ビットコインは初のブロックチェーンベースの暗号資産(仮想通貨)で、完全なDAOとされています。ビットコインは、特定のリーダーがいなくとも、世界中のマイナーたちによるマイニング活動によってブロックチェーンネットワークが維持・管理されています。

メタバース

メタバースとは、インターネット上に構築された人数参加型の仮想空間をさしています。 「超越」や「高次元」を意味する「メタ(meta)」と、「宇宙」や「世界」を表す「ユニバース(universe)」をかけ合わせた造語です。 メタバースでは、ユーザーは自身の分身となるアバターを使って生活を送ります。
■関連記事
メタバースの始め方とは? 準備するものやできること
https://flets-w.com/chienetta/technology/atr_how-to-start_metaverse.html

5すでに始まっているWeb3.0の世界

Web2.0からWeb3.0への切り替わりイメージ

Web3.0として、ブロックチェーン技術を利用したサービスはゲーム、インターネットブラウザー、動画配信サービスなどが登場して注目を集めています。
インターネットブラウザーは、セキュリティーやプライバシー保護に特化したものが登場。ゲームでは、ブロックチェーン技術を活用した暗号資産(仮想通貨)やNFTを獲得できるものがあり、プレイヤーはゲームで獲得した資産を仮想通貨や現実世界の通貨と交換することができます。
動画配信サービスの分野でも新たなフォーマットが登場しており、ユーザーによるコミュニティーが管理を行う分散型配信制度を採用し、独自の暗号資産(仮想通貨)により収益還元を行っています。
また、銀行に代わるものとして、分散型金融「DeFi」(Decentralized Finance)では金融サービスの仲介をする企業が存在せず、プログラムによる資金管理など、サービスを利用する個人同士の仲介を全て自動で行うため、金融機関を介さずにお金をやり取りすることができます。

大阪・関西万博でもWeb3.0を体験できる

2025年開幕の大阪・関西万博では、ブロックチェーンを活用したWeb3ウォレット機能がついた「EXPO2025デジタルウォレット」を提供。万博独自のNFTがもらえたり、保有しているNFTを決済に利用したりと、さまざまな機能が楽しめます。
EXPO2025デジタルウォレットサービス

6まずは慎重に!おさえておきたいWeb3.0のハードル

さて、Web3.0はさまざまな場面で活用が試みられていますが、注意も必要です。
企業などのプラットフォーマーを挟まずに、利用している自身が発信者であり、管理者であるため参入のハードルは高いといえます。知識が必要であると同時に、現状では関わっている人や事象が少ないことから、「Web3.0」の認知が浸透していない原因かもしれません。

また、Web2.0 でユーザーをつかんでいる世界的なプラットフォーマーにとっては、ある意味、利益相反の関係になっています。Web3.0の世界は情報の自己管理を行うため、これまでWeb2.0の世界で情報を集約してきたプラットフォームからの脱却を意味する側面がありますね。Web2.0の世界を構築してきた大手のプラットフォーマーにとっては、Web3.0の世界が広がると、その分、これまで手にしていた利益を失うことにもつながりかねません。
さらに、現状のWeb2.0が便利で快適と感じているユーザーも多いでしょう。トラブルがあってもプラットフォームが責任をもって対応してくれるケースも多いです。しかし、Web3.0の場合はトラブルが起きた場合も自己責任となってしまうリスクがあります。自分の財産であるデータやお金に関わる部分が大きいため、安易にやってみようとはならないものですよね。

加えて、サービスの施工のためには、法整備にも時間がかかることが考えられます。2023年6月には資金決済法改正で、国産ステーブルコインの発行ができるようになりました。新たな取り組みには、こうした法的枠組みが必要なものもあります。

7まとめ

ここまで「Web3.0」について紹介しましたが、いかがでしょうか?正直まだピンとこない人も多いかと思います。現在、少しずつ新たな取り組みが登場している一方で課題やリスクもあり、まだ華々しく一般に普及する場が少ないのかもしれません。
ただ、「分散型インターネット」のセキュリティー面や、大手のプラットフォームに依存しない点などは新たな価値として、認識されることで、有効利用される可能性も高いでしょう。
今ではスマートフォンを誰もが持っており、行政サービスなどもアプリが用意されているようになりました。それはかつてのフィーチャーフォンを持っていた当時では想像できなかった世界といえます。
このように時代は着実に変わっています。ネット社会との付き合い方に変化はつきものです。気づけば、Web3.0も当たり前になる日がくるかもしれませんね。

8インターネット回線は10G(ギガ)光回線がスタンダートに!?

10G(ギガ)光回線がスタンダートになったイメージ

インターネットを取り巻く環境が変化するように、インターネット回線も「ISDN」から「ADSL」「FTTH」へと移り変わってきました。
現在主流の光回線(FTTHアクセスサービス)は回線速度が100Mbpsから1Gbps、そして10Gbpsへと進化しています。

例えばNTT西日本では最大概ね10G(ギガ)※1の「フレッツ 光クロス」を提供しています。
また、NTT西日本から光回線を借り受けてサービスを提供している光コラボレーション事業者の「コラボ光」からも最大概ね10G(ギガ)スペックのサービスが提供されています。

高速で安定性を追求したインターネットを提供するNTT西日本品質なら、大容量通信の環境を快適に過ごすことができるため、快適な通信環境にしたい方などにおすすめです。※2

※1 技術規格上の最大値であり、実効速度ではありません。なお、本技術規格においては、通信品質確保などに必要なデータが付与されるため、実効速度の最大値は、技術規格上の最大値より十数%程度低下します。インターネットご利用時の速度は、お客さまのご利用環境やご利用状況などによっては数Mbpsになる場合があります。ご利用環境とは、パソコンやルーターなどの接続機器の機能・処理能力、電波の影響などのことです。ご利用状況とは、回線の混雑状況やご利用時間帯などのことです。
※2 インターネットのご利用には、プロバイダーとの契約・料金が必要です。

※本文に記載されている商品またはサービス等の名称は、各社の商標または登録商標です。
※この記事は2025年3月5日現在の情報です。

「インターネット回線」を見直してみませんか? 「インターネット回線」を見直してみませんか?

リモートワーク、オンラインゲーム、スマートフォンのWi-Fiなど日々の仕事や暮らしで安定して高速な光回線が求められています。
光回線を選ぶなら、「NTT西日本品質」という選択を。

チエネッタ編集部

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