チエネッタ

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2018.02.28

炎上、SNSトラブル、Wi-Fiセキュリティー......ネットを怖がり過ぎていませんか? 「正しく怖がる」インターネットとの付き合い方

写真:炎上、SNSトラブル、Wi-Fiセキュリティー......ネットを怖がり過ぎていませんか? 「正しく怖がる」インターネットとの付き合い方

スマホ普及が進み、主婦のみなさんのあいだでもSNSを楽しむ人が増えています。2017年の流行語大賞に「インスタ映え」が選ばれたように、ママ友とのランチ画像を投稿したり、子どもの成長記録をつづったり。友達同士でコメントを書き込んで、コミュニケーションツールとして活用している人も多いようです。

一方で、「知らぬ間に個人情報をネットに投稿」「うかつな書き込みで炎上」等のニュースを耳にすると、「ネットって怖い......」って不安になりますよね。確かに、ネット上には様々なトラブルが存在します。でも、それは本当に「ネットのせい」なのでしょうか?

今回チエネッタ編集部はグリー株式会社の社会貢献チームマネージャー、小木曽健さんにインタビュー。日本各地の学校・企業で講演を行い、「正しく怖がるインターネット」を提唱する小木曽さんに、ネットリスクとの正しい付き合い方をお聞きしました。

写真:小木曽健(おぎそけん)

小木曽健(おぎそけん)

1973年生まれ。2010年グリー株式会社に入社。2012年よりネットの安全利用を促進する「社会貢献チーム」マネージャーとして全国で通算1500回の講演を行い、受講者は40万人以上。著書に『11歳からの正しく怖がるインターネット』(晶文社)等がある。

ささいな個人情報なら、投稿のリスクは低い

写真:キーボードが燃えている様子

――SNSに投稿するとき、みなさん個人情報を守ろうと気をつけています。最近は、何気ない写真に写り込んだ道路やマンホールの写真で住所を特定されて、身元がさらされるなんて話も聞きます。

それはいわゆる「2ちゃんねる」といった掲示板等で「特定」されるケースですね。近所の写真を投稿して「この写真、どこで撮ったか当ててみ?」なんて書き込めば、ものの数十分で特定されることもあります。「撮影日時と太陽光の角度」でおおよそのエリアがわかりますし、「電柱」や「マンホールのデザイン」、「特徴ある街路樹」も地域特定につながる情報。「黒い車やカーブミラーに映り込んだ景色」でもあれば簡単に住所を特定できますからね。

――『カーブミラーに映り込んだ景色』! なんだか怖いです......。

実は、掲示板にいる人たちの調査能力がずば抜けているわけではなく、人数が膨大なんです。偶然、誰かが知っているニッチな情報が、一瞬で1000〜2000人に共有・検証されて、最終的に、個人の特定につながるんです。でも、有名人や炎上の当事者にでもならない限り、そんな大人数が寄ってたかって調べたがるような状況は、まず起きないので、過剰に恐れる必要はないですよ。

――たとえば主婦の方が、SNSのプロフィール欄に「◯◯県在住の主婦・二児の母」程度の個人情報だけを載せていて、近所の風景が映り込んだ写真を投稿しても、危険はないですか?

写真:小木曽健 氏による講演の様子

日常にすでに存在している「交通事故」などのリスクと比べれば、まあ大丈夫と言えるレベルでしょうね。日々、普通に過ごしている主婦にそこまでのリスクはないはず。ただ、過去にストーカー被害に遭ったり、人間関係でトラブルがあった人とか、論争になりがちな発言をSNS上で繰り返しているような人だと、悪意を持った誰かが2ちゃんねる等に情報を書き込むことで、炎上・身元特定などのトラブルが起きるかもしれません。

――なるほど。個人情報よりも、論争や波紋を呼ぶような投稿の方がリスク、とも言えるんですね。ならSNSを友達限定公開にしている場合は、その中で何を言おうが、リスクはほとんどないですよね?

それも内容次第ですね。拡散する「パワー」、特に「負のパワー」を持つ投稿であれば、限定公開であっても拡散する可能性が高いです。だって、投稿をスクリーンショットで撮影して、「内緒だよ」と他の友達に送ればいいんですから。面白いものは「誰かに見せたいもの」。もうどんどん拡散して、コントロールなんてできません。

――確かに......。そう考えると、書き込み内容への配慮が必要ですね。

ネットうんぬんというより、これは情報そのものの特性であり、同時にモラルの問題でもあります。SNSは自分が思ったことを何でも自由に書けるツールではありません。その情報を世の中に発信したときに、何が起こるかをあらかじめ想像したうえで使わなければ必ず失敗します。逆の言い方をすれば、公の場で「大声で話せる内容」ならば、SNSに投稿してもさほど問題は起きないということです。

さらにいうとSNSって、実は自分が思っている以上に、自分のキャラが丸出しになる道具なんです(笑)。皆さんの周りにも、いつもは普通なのに、SNSだと「すぐ怒るよね」とか「自慢しがちだよね」とか「このタイミングでこれ書いちゃうんだ」みたいな方がいると思います。まさにそれです。僕はいつも、自分の投稿を他人の視点で見直すようにしているんです。いつどこで何をした、どう思ったという何気ない投稿にも、「こんなにステキなレストランで食事をする自分」とか「こんなに聡明な考え方をする自分」を見せたい気持ちが入り込みがちです。投稿前にちょっと見直すだけで、少しはコントロールできるかな、と思っています。まあ最後はこれ、個人の考え方、好き好きですけどね。

その問題、本当に"ネットだけ"のもの?

写真:コンクリートに覆われた細い廊下を歩く後ろ姿を撮影したモノクロ写真

――SNS上で狙った人物を追い続ける"ネットストーカー"がいると聞きました。プロフィール等、あまり詳しく個人情報を記載しない方が安全ですよね。

未成年を狙う変質者に多いですね。そのレベルのストーカーだと、プロフィールに個人情報を書いていなくても、毎日のささいな投稿をつなぎ合わせて推測することで、好きな音楽や趣味ぐらい簡単に調べ上げますから。彼らは損得で動いていないので、平気で半年、一年単位の時間をかけて、狙った相手の情報を収集していきます。

まるで偶然を装い、音楽や好きなスポーツ等、話が合うフリをして近づき、自然な会話の中で「家が○○の近く」、「アパートの2階に一人暮らし」、「隣の家が犬を飼っている」等の話を引き出し、自宅を特定。「君の自宅を知っているので会えないか?」と持ちかけ、断られると「ネット上に住所をさらすぞ」と脅す。このようなケースが過去、実際に発生しています。

――怖過ぎます......。

年頃の若者が、ネット上に情報を投稿すれば、このような変質者に遭遇するリスクは誰にでも発生します。でもそれって、ネットだけの話ではないですよね? 制服を着て電車で通学していれば顔と学校名、最寄り駅だってすぐバレますし、尾行でもされたら自宅も一発で特定されます。現実世界でもこういったリスクはあるので、ネットだけが特別に危険だと考えないほうがいいです。ネットのリスクに気を取られすぎることで、現実のリスクを見逃してしまう、という危険もありますから。

――ネットでもリアルでも、世の中には一定数の悪意が存在していて、ターゲットにされる可能性はあると。でもネットがあることで、なかった頃よりも情報を得やすくなっていると考えれば、若い女性は個人情報の扱いに気をつけた方がいいですね......。

写真:小木曽健 氏による講演の様子

若い女性の被害を思い浮かべる方も多いと思いますが......必ずしもそうではなくて。ちょっと別の話になりますが、私のSNSに送られて来る個人情報についての相談・トラブルのうち、もっとも多いのが10代男子のケースなんです。男子生徒はSNSに学校名や顔を出していることが多いので、SNS上の友達とトラブルになった際に、「お前の顔も学校もわかっているから、校門で待ち伏せしてぶん殴るわ!」と言われ、慌てて私に連絡してくるとか、結構ありますよ。

これも発端はネットですが、トラブルの元凶は子ども同士のケンカ。大人同士なら「今から行って~」なんて、それこそ逮捕されちゃいますから言いませんよね。若者はまだコミュニケーションが得意ではありませんし、自分の発言に伴うリスクの理解も十分ではありません。根本の要因はそこであって、ネットはきっかけでしかありません。

――10代男子とは意外ですね。その年頃の男の子特有のパターンということですね。

個人情報をどこまで投稿できるのか、というセキュリティの境界線は、その人の性別や年齢、置かれている立場によって変わってくるので一概には言えないんです。ご自分で判断したり、決めたりする分野ですね。

友達のタグづけ、子どもの写真投稿......他人の個人情報にも気遣う時代に

写真:5人の子供が笑顔でポーズをとっている様子

――自分は一切個人情報を出さないように気をつけているのに、他人のタグづけで現在地がバレてしまう、等の話も聞きます。

あまり深く考えずに、一緒にいる人を気軽にタグづけしてしまう人はいますね。タグづけされるのが嫌なら、表示させない設定にしたり、削除することも可能です。ただ、SNS側の規約の変更に伴い、仕様が変わることもあるので、完全な予防策にはならないかも。

――なんとかして完全にタグづけさせない方法はないのでしょうか。

写真:小木曽健 氏による講演の様子

それをいうなら、そもそも写真に一緒に写っている時点でバレちゃってますよね。そのせいで「この人、今日は忙しいって言っていたのに、外でご飯を食べていたんだな」とか......。ささいなウソがバレやすい時代ではあります(笑)。

裏を返せば、自分が投稿した写真に写っている相手にも言えること。相手にとって不都合がないかどうか、投稿する前に一度、気遣うことが大切です。

――言われてみれば、子どもの場合は写り込みに気を遣いますよね。他の子どもの顔をぼかして配慮したりとか。でも、その子の親は他の子どもの写真を加工なしで普通に上げていたりして、人によって感覚が違うので悩む部分もあります。

たとえば子どもの親権を巡ってトラブル中とか、別居中の旦那さんに住所を知られたくない人が、他人のSNS投稿から居場所がバレてしまったケースが過去にありました。

他人の事情についてはリスクが読めないので、自分以上に気をつける必要があります。食べ物のアレルゲンと同じ感覚で注意すればよいでしょう。といっても難しいことではなくて、「写真をSNSにアップしても大丈夫?」の一言があれば、相手も「この人は気遣いができる人なんだな。私もそうしよう」となりますよね。結局は、これもネットマナーというより、人としての気遣いの問題です。

今後増加する「ニセモノWi-Fi」にはご注意

写真:都会の景色にWi-Fiマーク

――オシャレなカフェやおいしいお店に行ったときなど、SNSに投稿したくなると思うのですが、最近では無料のWi-Fiを提供している飲食店やコンビニも増えたので、これらを利用して投稿している人も多いようです。一方で、「無料Wi-Fiを使うと個人情報が盗まれる」なんて話を耳にすることも。実際のところどうなのでしょうか?

今後、東京五輪の訪日客向けに設置されるフリーWi-Fiが増えて行くでしょう。それにともなって、フリーWi-Fiに集まる外国人富裕層を狙った犯罪も増えていくと思われます。当然、私たちも同じリスクに直面します。

――フリーWi-Fiにつなぐと、どんなリスクが考えられますか?

フリーWi-Fiは、使いやすいようセキュリティが低く設定されている場合が多いので、ネットバンキングやクレジットカード情報を伴うサイト・アプリは利用しない方がいいです。また今後、増えるといわれているのは、フリーWi-Fiのすぐ近くに、犯罪者が偽のWi-Fiを設置してしまう手口。フリーWi-Fiに接続したつもりが、偽のアクセスポイントに接続してしまい、さまざまな情報が抜き取られるリスクがあります。

――フリーWi-Fiの近くでは、カード情報を入力するようなネットショッピングをしたり、アプリを立ち上げたりしない方が良いということですね。

はい、言い出したらきりがないですが、その方が無難ですね。ですが気をつけたいのは、自分が何もしていなくても、スマホ内にカード情報を保持したアプリがあれば、アプリを開いてなくても登録情報が盗み取られる可能性がゼロではないということ。

――そう考えると極端な話、もうフリーWi-Fi自体に近づかない方がいいのではと考えてしまいます。

「未登録のWi-Fiには勝手に接続しない」設定が出来る機種やアプリがあるので、それを使うのが自衛のひとつ。そして最後は、リスクに対するご自分の判断です。

お店が設置した正規の機器であれ、悪意あるニセモノであれ、無料のWi-Fiは第三者が提供するものなので、100%の安全は担保できません。もしこの情報が漏れてしまったら損害はこれくらいだな、保険の対象になるかな、この情報は取られても諦めようかな......等、極論ですが、それが、リスクとの本来の向き合い方だと思います。

心配しだすとキリがない、リスクとの折り合いのつけ方

写真:小木曽健 氏による講演の様子

――先ほどのWi-Fiの話を聞いてしまうと、正直、気をつけなきゃいけない点があり過ぎて、やっぱりネットって怖いな......って思ってしまいます。

繰り返しになりますが、ネットが特別に危険なのではなくて、日常生活にも危険はあります。たとえば、車を運転するとき、絶対に事故が起こらないとは言い切れません。もっと言えば、明日、ネットトラブルに巻き込まれる可能性よりも、今日、交通事故に遭う可能性の方が高いくらいです。でも、車はリスクを理解したうえで気をつけて乗りますよね。ネットもそれと同じように考えるとわかりやすいと思います。

――車と一緒......そう言われると確かに。「絶対に安全なネットの利用法を知りたい」と、つい考えてしまいますが、100%の安全を求めるのは無理があるのかもしれません。

車もネットも、ただの道具に過ぎません。車そのものは危険ではないが、運転=人間の使い方によって危険になる。同様に、ネット自体は危険ではないが、理解しないまま使うことや、ありもしない匿名性を過信して使うのは危険、ということなんです。

写真:大きなスクリーンに「ゲーム×教育 千葉大学との共同授業」の文字が映し出され、向かって右側に立つ小木曽健 氏

ネット時代とは、誰もが情報を発信・拡散できる時代でもあります。そしてその情報は、一度ネットに投稿されたらコントロールができないもの。もしかしたら悪意ある人に悪用される可能性もある。道具を使う以上は、その道具の本質やリスクを知るべきです。

――ネットのリスクを知らないと「知らない=怖い」となりがちですが、車の運転のようにどこが危険なのかを知って気をつけて利用すれば、必要以上に怖がる必要はないんですね。

逆に知らずにどうやって怖がるのか、という気もします。リスクが怖い、ではなく、リスクを知らず使うことのほうが怖いと思います。そもそもこうしてインタビューしている瞬間も、向かい合ってお互い顔をさらしていますよね? 現実世界でもネットでも、生きている以上は何らかの情報を発信しなくてはならない。ネットに限らず、人生を生きるというのは、それなりに個人情報を発信しながら生きているのだと思います。

ですから、どこかで折り合いをつける必要がある。日々の投稿内容に気を配るのはもちろんですが、漏えいが不安なら、スマホやパソコン内に保存しているデータも見直した方がいいですよね。ネットにつながる機器には、流出したら取り返しがつかない情報や、身の破滅を招くような情報は置かない。これなら最悪、流出してもどうにかなる、その時の対処法は最悪これがある等......リスクの最大値を知った上で利用する。それが正しいインターネットとの付き合い方、道具との付き合い方だと思います。

【コラム】SNS乗っ取り被害を防ぐパスワードお手軽テク

よく耳にする「SNSアカウントの乗っ取り被害」。誰かが自分のIDとパスワードでログインし、自分になりすまして知人を悪質サイトに誘導する等の手口です。

「実は私も経験がありますが、乗っ取られてパスワードを変えられてしまったら二度とログインできなくなったり、友達にも迷惑をかけたりと大変です。乗っ取られる原因のほとんどが、ネット上の複数のサービスで同じIDとパスワードを使い回していること。そこでおすすめは、ある程度長くて複雑な、ベースとなるパスワードに、自分で決めたルールに基づいた末尾を足す方法です。LINEならLN、FacebookならFBとか、簡単なルールで付け足すだけで、すべてのパスワードが少しずつ違ったものに変化しますし、自分でも覚えやすいのでおすすめです」

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