チエネッタ

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公開日:2018.02.23

ナンプラーにミント! 生クリームにマヨネーズ! 人工知能が教える謎レシピが料理の可能性を広げてくれた件

写真:ナンプラーにミント! 生クリームにマヨネーズ! 人工知能が教える謎レシピが料理の可能性を広げてくれた件

チエネッタ読者のみなさん、はじめまして。割烹着にパソコンというアンバランスな出で立ちで失礼いたします。
ライターや編集をしているおかんと申します。

おかんはあだ名なんですが、あだ名の通り、食べることや料理が好きで、執筆活動のかたわらフードイベントなどを開催しているアラサーです。

さて、ある日チエネッタ編集部さんから「主婦がインターネットを楽しめる記事を書いてください」とお話を受けました。主婦ではないながらに(そんなあだ名のくせに)考えたんですが、きっと主婦のみなさんって毎日家族のために料理を作っていて、それこそ生活ゆえに、毎日毎日ひたすら作っているわけですよね。となると、毎食バリエーションあるレシピを考えるのって、すごく大変なんじゃないかなぁ......と。常にマンネリとの戦いなんではないかと。

そこで思いついたのが「シェフ・ワトソン」の存在です。

シェフ・ワトソンとは、IBMのコグニティブ・コンピューティング・システム、いわゆる人工知能を利用した料理アプリ。任意の食材名を打ち込むだけで、コンピューターが組み合わせる食材を判断してレシピを提案してくれるんです。

何が面白いってこのシェフ・ワトソン、アメリカの企業が作ったからなのか、それとも人工知能だからなのか、日本人が思いつかないような食材の組み合わせを出してきます。

写真:シェフ・ワトソンにて「Chicken(鶏肉)」と入力した際の出力結果画面

ほんの一例ですが、「Chicken(鶏肉)」と入力しただけでチーズ、マンゴー、ケールを使うレシピを提示してくれました。いやいやマンゴーって。それにケールって青汁の材料じゃん!

突拍子もないアイデアですが、ひょっとするとこのフリーダムさが、レシピに困っている主婦のみなさんにとって、マンネリ打開のヒントになるのでは!??

ということで、今回は人工知能の力を借りて、普段なら絶対に思いつかない新たなレシピに挑戦!どんな作り方なのか、味はどうなのか、気になる一部始終をレポートします!

未知との出会い!!ありえない組み合わせのオンパレード

写真:パソコンで様々な組み合わせを試す「おかん」

みんなが驚いて、誰もが考えつかないような組み合わせのレシピがないものか。「豚肉×バナナ」「ツナ×チョコレート」「枝豆×蜂蜜」......個性的な組み合わせやクセの強い食材を思いつくまま打ち込んでいきます。

悩み続けることしばし、ついに見つけたのがこちら「ミント・ソテー」。

写真:「ミント・ソテー」のレシピ画面

どうやらステーキにかけるソースのようなのですが、その組み合わせがなんと「マヨネーズ×ホイップクリーム×ナンプラー×ミント×シナモン」。

写真:パソコンの画面を凝視する「おかん」

......本気で言ってる?

どれも苦手という意見が一定数ある食材だし、中でもナンプラーにミントにシナモンって、食わず嫌いな人も多い食材じゃありませんか。

んな好奇心が生んだ闇鍋モンスターみたいなレシピ、実際の味はどんなものなの〜!?

四苦八苦の和訳でよりカオスを極める材料

写真:英語で書かれたレシピ

レシピはオール英語表記。「まあ、サクっと自動翻訳したらいいよね〜」と思い翻訳サイトにかけたんですが......。

オーブンを375°Fに予熱する。ブドウのトマトから緑色の上端を切り取ります。茎を切り落とし、緑を捨てる。優しくブドウのトマトの1/2をこすって、別の場所に置いておきます。ブドウのトマトにオリーブオイルの1/4を炒める。塩を振りかけるホイルでパンを覆う。焼く。ブドウのトマトを室温で覆うようにしま(略)

支離滅裂〜〜〜!!

「ブトウのトマト」や「緑色の上端(ヘタのこと?)」など意味不明な文章に、不揃いな単位の分量。自動翻訳ではやっぱ無理があるな......。

写真:パソコンを操作する「おかん」

結局、各単語を辞書で調べてちょこちょこ調整......。下ごしらえが翻訳なんて聞いたことがないぞ。

英語が得意とは言えないので手間取りましたが、何とか調理ができる状態に!

作る前から紆余曲折の材料はこちら!

写真:テーブルの上の材料一式

▼マリネ液
しょうゆ 大さじ3
ナンプラー 43g
ミントのみじん切り 大さじ1と1/4
シナモン 小さじ1/4
唐辛子のみじん切り 小さじ1/2
オリーブオイル 85ml
塩 お好みで

▼ソース
マヨネーズ 60ml
生クリーム 350ml
プラムジュース 大さじ2
玉ねぎのみじん切り 3カップ
プチトマトの半月切り 2カップ
オリーブオイル 大さじ2
子牛のリブチョップ 670g

レシピの原文には、肉を焼く際に天板に吹き付ける植物油のスプレーなどがありましたが、分量外のオリーブオイルで代用します。プラムジュースは100%のものがなかったので、同じスモモ科のプルーンジュースで対応しました。

あと、海外のサイトのため何のためらいもなく「子牛のリブチョップ」なるゴツい骨つき肉がレシピに登場します。日本のご家庭で難なく入手するには無理があるので、今回は代用品として普通の牛ステーキ肉と、念のため鶏肉でも作ってみることにしました。

写真:調理をはじめた「おかん」

和訳がそもそも合ってるのかも不安だし、別にナンプラーは45gでもええやろ......とツッコミどころはありつつも、いざ調理開始!

頼むぞ人工知能!

ゲテモノ味だったら許さないんだから!!

ナンプラー×シナモン×ミントで作ったマリネ液に肉を漬ける

写真:ボウルに入ったナンプラー、シナモン、ミントを混ぜている様子

まずはオリーブオイル、ナンプラー、しょうゆ、みじん切りにしたミントと唐辛子、シナモンをボウルに入れてマリネ液を作ります。

シナモンがダマにならないようよく撹拌させ、全体がなじんだところで、ナンプラー特有の発酵臭、ミントの清涼な香りに加えて、シナモンの独特のにおいが混ざりあう、何とも言いがたい謎液体が完成。

写真:出来上がった謎液体を味見する「おかん」

ナンプラーとミントだけならエスニック料理っぽいから、まだ何とかなる感じがするけど加えてシナモンがなぁ〜。これに肉を漬け込むとなると......。

写真:味見をして悩まし気な表情の「おかん」

!!!?

......あれ!??おいしいかも!!?

意外や意外、それぞれのクセが尖るかと思いきや、絶妙なバランスでまとまっています。気がかりだったシナモンの香りが、ほどよい甘さと香ばしさになって全体を高級感ある風味に。

「しょせんは人工知能、心のない舌は悲しい料理しか生み出さないのさ......」と料理マンガの賢人みたいな心持ちだったんですが、意外と絶品が飛び出すのかもしれません。

写真:バットに入った肉にマリネ液をかけている様子

かすかな期待を胸に、肉をバットに入れ、できあがったマリネ液をかけていきます。

このまま冷蔵庫で1〜2時間冷やす......とあるんですが、ステーキを焼く際は肉を常温に戻しておく必要があります。でないと表面は焼け過ぎ、中は生焼けに。今回は1時間半で肉を冷蔵庫から出して30分ほど室温になじませることにしました。

マヨネーズ×ホイップクリーム×プルーンジュースでソースを作る

写真:フライパンでプチトマトをオリーブオイルで炒めている様子

つづいてはソース。プチトマトは半月切りにしてオリーブオイルで炒め、常温になるよう冷ましておきます。

写真:ホイップした生クリームとプルーンジュースを混ぜている様子

トマトを冷ましているあいだに、生クリームをホイップし、プルーンジュースを混ぜます。

写真:混ぜたものにマヨネーズをさらに入れている様子

普通にここまでならプルーンのフルーティーさが効いたホイップクリームなのに、投入するのはまさかのマヨネーズ!

「もうやめようよ〜! 普通にスイーツとしてホイップクリームを使えばいいじゃない!」とお思いのみなさんもいらっしゃるんじゃないでしょうか。私もそう思います!

写真:プチトマトを投入している様子

さらにそこへみじん切りの玉ねぎと、冷めたプチトマトを加えてよく混ぜ、ソースの完成。

おそるおそる味見をしてみたところ......。

写真:にやけた表情でボウルに入った素材をかき混ぜる「おかん」

あ〜なるほど!!こういう味か!!

トマトと生クリームで作るパスタソースがありますが、なんとなくそれに近い味わいです。さらに言えばマヨネーズの酸味ぶん、それにフレンチドレッシングを足したような。

味そのものは「全然食べられる」感じなんですが、ふわっふわのホイップクリームをここからどう肉に合わせていくべきか......。

火を通したらあら不思議!? おいしそうな料理に劇的変化

写真:マリネ液につけている肉の臭いを嗅ぐ「おかん」

肉も漬け込みが終わってほどよい常温に。いよいよ肉を焼いていきます。においを嗅いでみたんですが、やっぱりけっこうイケそうな香り。

写真:フライパンで肉を焼いている様子

レシピ原文にはありませんでしたが、フライパンに分量外のオリーブオイルを熱し、強火で肉の表面だけをこんがり焼いておきます。

あめ色の玉ねぎ、トーストやごはんのおこげ、熱を入れて褐色になった食べ物って独特の香ばしさとうまみがありますよね。これは食品の糖とアミノ酸が加熱によって発生する香り。メイラード反応と呼ばれるものです。

このメイラード反応を生かすと、ステーキなんかは一気に本格的な味になるので、よりおいしくなるよう一手間かけておくことにしました。

まあ正直言うと、できあがりの味が不安だったので、せめて肉単体をちょっとでもおいしくしておこうという魂胆だったんですが。

写真:肉に焼き色がつき、良い焼き加減になってきた様子

それぞれの肉の表面が香ばしく焼き上がったところで......。

写真:グリルにリブチョップを入れている様子

グリルにリブチョップ、トースターにステーキ肉と鶏肉を入れて中まで火を通します。原文には「肉をいい感じに焼く」としか書いていなかったので、こまめに肉の具合を見ながらの作業。

そのあいだに、さっきのふわふわのクリームソースを煮詰めていきます。この工程は訳してもよくわからなかったので「こっちの方がおいしいはず!」という直感で煮詰めました。

写真:焼きあがったリブチョップに包丁を入れている様子

焼き上がった肉を食べやすい大きさに切り、ソースを敷き詰めた皿に盛り付け。ちぎったミントを散らして......。

写真:白と青のお皿に盛りつけられた「謎ソースのステーキ」

「人工知能による謎ソースのステーキ」の完成です!

調理開始時には予想だにしなかったハイクオリティーな見た目。

はたしてお味はいかに......!?

人工知能の味をいろんな料理人に食べてもらってみた

写真:テーブルに着座している「keita」さん、「みち子」さん、「naho」さん

やっぱり評価は人間の舌で!ということで、さまざまなジャンルで活躍している料理人のみなさんに集まってもらいました。

左から、野菜を使った押し寿司「VEGESUSHI(ベジ寿司) 」を日本やパリで製作し、国内外の人から評価を受けるkeitaさん。

京都をはじめとする全国で「おばんざいスナック」なるフードイベントや、保存食のワークショップを開催しているみち子さん。

ケータリング「hanauta」とマーケット「保存食lab」を展開し、パーティーでのおもてなし料理にも詳しいnahoさん。

写真:調理している「おかん」と不安げに見つめる「keita」さん、「みち子」さん、「naho」さん

材料を伝えたところ「ぼくらは実験に巻き込まれてるんだね」「そんな大量の生クリーム必要?ステーキなのに?」と、めちゃくちゃいぶかしがられました......。

写真:オレンジと白のお皿に盛りつけられた肉

レシピ通りの子牛のリブチョップのほかに、普通のステーキ肉を使ったものや、

写真:花柄のお皿に盛りつけられた肉

鶏肉を使ったものも用意。

写真:いただきますと手を合わせる「keita」さん、「みち子」さん、「naho」さん

「まずかったらどうしてくれよう」という空気の中、試食タイムの開始です!

「意外とミントはいい香りを出してる」「アンチョビと生クリームは合うから、ナンプラーにも合うのかも」と食べる前から具体的に意見しつつも、なかなか口に運ぼうとしない料理人一同。やはり未知すぎる料理に、少し警戒しているようです......。こんないぶかしんだ表情の試食会ある?

何とか促して、やっとこさ最初のひとくちをパクリ。

写真:一口食べて笑みがこぼれる「keita」さん。

!!!

写真:笑顔の「keita」さん
keita

「あ、普通にウマいわ!」

写真:料理を食べながら談笑する「みち子」さん、「naho」さん、「おかん」
みち子

「お肉に合うね!」

naho

「酸味がマイルドでおいしい」

正直「酷評もやむなし......」と覚悟していたのですが、何ということでしょう、全員が「おいしい」と高評価!

写真:試食する「おかん」

私も試食してみました。

写真:試食してひとさし指を立てて喜ぶ「おかん」

......お、お、お〜!? おいしい!!

生クリームを煮詰めたのが、いかにも海外の料理!風のソースに仕上がっています。表現するなら「アメリカンダイナーの自家製タルタルソース」という感じ。

もったりした濃さが、ナンプラーとミントのおかげで軽減されています。思っていた50倍くらいはちゃんと料理としてまとまってる〜〜!!

写真:料理を食べながら談笑する「keita」さん、「みち子」さん、「naho」さん

食べる前と比較すると、みんな心なしか、ホッとした表情。私も心底ホッとしました!

和気あいあいと食べ進めるうち、いろんな意見が飛び出してきました。

keita

「ミントはもっと盛った方がおいしいね。チュニジアとか北アフリカっぽい雰囲気がする。モロッコ料理と言われても違和感がない」

みち子

「ソースが単体で仕上がってるから、ステーキ肉でも鶏肉でもおいしい。淡白な魚とかにも合いそう。サンドイッチのソースにしてもいいと思う」

naho

「ソースの味がけっこう濃いので、ミントのようなさっぱり感がいい。これが今年流行る!と言われたら、みんな作るかも。『パクチーの次はミント』みたいな」

あの、一見ありえない組み合わせが、こんなにもオシャレな評価を受けるなんて......。

keita

「パーティーに合うよね。ノンアルならコーラ、お酒ならハイネケンみたいなさっぱりしたビールが相性よさそう」

みち子

「ソースと1番相性がいいのはやっぱり子牛のリブチョップかな。いい骨つき肉が手に入ったら、たとえば焼き肉のタレじゃなくて、こういう奇をてらった味も楽しいと思います」

naho

「野外バーベキューで活用できそう!ちょっとジャンクな風味は大人も子どもも好きですもんね」

お客さんを呼んでのもてなし料理としても通用しそうな勢いです!!!

写真:談笑する「keita」さん、「みち子」さん、「naho」さん

ただ、後半は生クリームの重さが気になるなど、調理の改善点なども挙がりました。

naho

「生クリームが400ml弱っていうのはさすがに多過ぎるかな。たとえば半量を乳脂肪分高めのヨーグルトにして、ヨーグルトの酸味ぶんマヨネーズを加減すればもっとサッパリ食べられると思う。あと、煮詰めるならホイップする必要なかった」

みち子

「それに、トマトは炒めておかなくてもよかったんじゃないかな」

keita

「海外のトマトは日本のものより生食だと酸味が強いのかもね。日本の甘いトマトなら、事前に炒める必要はなさそう。そこは手抜きできるよね」

など、家庭でアレンジするときのアドバイスをいただきつつも、みなさん食べる手は止まらず、撮影スタッフも参戦して、最後にはキレイに完食!

写真:完食したお皿をカメラに向ける「keita」さん、「みち子」さん、「naho」さん
みち子

「それにしても、人工知能が考えたレシピが、こんなにもちゃんと成り立ってるのがすごいね!」

naho

「正直、最初は何食べさせられるのかと思ったけど(笑)。おいしくてホントびっくりした」

keita

「テクノロジーの進化だね。うまく使えば料理のレパートリーが広がると思う」

写真:テーブルに並ぶ完食されたお皿と「keita」さん、「みち子」さん、「naho」さん。カメラに向かってドヤ顔、ガッツポーズの「おかん」

いかがでしたか?

人工知能の力を借りて未知の料理に挑戦した今回、作ってわかったのは以下の通り!

・人工知能が生み出した仰天レシピは試してみる価値あり
・ただ、おいしく作るには人間側での裁量も必要
・お国柄、もしくは個人の味の好みや食材の特徴に合わせて、分量や調理法を変えたらもっとおいしくなる
・意外性のあるレシピをきっかけに、料理のアイデアが湧いてくる

満場一致の意見だったのが「この発想は日本の家庭にはない」ということ。

「もう手持ちのレパートリーがない」「冷蔵庫にある食材の組み合わせ方がわからない」と悩んだとき、人工知能がそれを助けてくれるかもしれませんよ!

変化球の組み合わせに恐れず、新しい可能性に挑戦してみてくださいね〜!

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チエネッタ編集部

チエネッタ編集部

インターネットを楽しく・便利に使うための情報を発信しています。Wi-Fiを使った節約術や、パソコンの便利な操作方法など、暮らしに役立つ「チエ」と、会話を盛り上げる「ネタ」をお届けします。
運営会社:NTT西日本

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