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公開日:2019.03.29

"プログラミング教育"時代に、親ができること

写真:"プログラミング教育"時代に、親ができること

2020年度から「プログラミング教育」が小学校で必修化され、さまざまな教科で「プログラミング的思考」を取り入れたカリキュラムが実施されます。――そうはいっても、プログラミング教育がわが子の将来にどのような役に立つのか、想像がつかないという保護者の方も多いかもしれません。そこで、さまざまな企業で採用に関わっている担当者に、企業の現場から見たプログラミング教育の必要性を語っていただきます。今回は、長年、多くの企業の採用状況を注視してこられ、人材の市場に詳しい、株式会社マイナビの栗田卓也さんにお話を伺いました。

画像:栗田卓也

PROFILE

マイナビ リサーチ&マーケティング部部長 栗田卓也
1992年毎日コミュニケーションズ(現:株式会社マイナビ)入社。2007年、マイナビ編集長に就任。2010年に新設となるHRリサーチセンター・センター長(現:社長室HRリサーチ部長)として、主に新卒採用のマーケット調査やランキング調査、分析を行う。日本キャリア開発協会認定CDA(キャリア・ディベロップメント・アドバイザー)。

IT系人材が足りないのは...IT企業だけじゃない!?

――2020年度から小学校でプログラミング教育が必修化されます。長年、就職や転職の採用市場を分析してこられたスペシャリストとして、どのように感じましたか?

「ようやく教育も変わってきた!」と思いました。2000年代中ごろからインターネットの普及とともに多くの企業が急激にグローバル化し、AmazonやLINEなど海外資本のサービスも私たちの生活にあたりまえのように根付いています。インターネットは今やどの産業においても欠かせないものになりました。

一方でそれらを担う人材は不足しています。マイナビが行った「中途採用状況調査(2018年)」によると、直近1年で中途採用活動を行った企業のうち、IT・通信・インターネット系の企業の69.6%が「採用目標を達成できなかった」と回答。たとえば100人採用したかったのに、100人採用しきれなかったことを示しています。これは、全業種の中で最も高い割合。ちなみに通常、転職で年収が下がることは珍しくありませんが、ITスキルをもっている人は年収が上がるケースが多いのも特徴で、採用の際にITの専門職コースを設ける企業も増えつつあります。このように不足している人材を供給するための動きが、ようやく教育の現場にも下りてきたのだという印象をもちました。

画像:直近1年間における中途採用実績の目標達成状況

――IT系の企業が人手不足だということですか?

IT系だけではありません。たとえば弊社のような人材サービス業でも、かつては就職情報誌とハガキ、電話で行っていたサービスが、今はインターネットに切り替わっていますし、青果店などの小売業だってアプリを通じて宅配するビジネスなどが増えています。そんな傾向が進む未来には、最低限のITスキルは身に付けておいたほうがよいでしょうし、少なくとも「僕はITは苦手だから、やらない」という姿勢では時代についていけなくなるかもしれません。

プログラミング教育の、本当の目的は?

画像:プログラミング教育の、本当の目的は?

――プログラミング教育が始まったらからといって、みんながみんなプログラムを組めるようになるんでしょうか?

そんなことはないと思いますが(苦笑)、プログラミング自体は今後、専用のプログラミング言語を学ばなくても、もっと簡単にできる時代が来るでしょう。それに、これから小学校で始まるプログラミング教育の狙いは、「プログラミング言語やプログラミングの技能そのもの」の習得ではなく、「プログラミング的思考」を育むことです。

――「プログラミング的思考」って、なんですか?

複数の情報を結びつけて新たな意味を見出したり、課題を解決するために、情報をどのように分けたり組み合わせたりすればよいか、といったことを論理的に考えることです。たとえば、コンピューター上で正三角形を書きたいとき、「正三角形を書く」という指令そのままではコンピューターに通じません。「長さ(100)進んで、右に(120)度曲がる」という命令を3回繰り返す、などコンピューターが理解できる命令を組み合わせることが必要です。

このように考える力はいうまでもなく、どの仕事でもあるに越したことはありません。つまり、プログラミング教育の真の目的は、プログラミングそのものではなくて、プログラミングを使って何かをするということ。コンビニやスーパーでどの棚に何を置いたらいちばん売れるのか、事務作業をもっと効率的に行うには何をすればよいか、仕事のミスが発覚したとき、原因を究明するにはどこから手をつけるのが最短距離なのかetc.。プログラミングと、それぞれの仕事の知識・経験を掛け合わせられる人材を育てることが期待されています。

これからのAI時代に、子どもたちはどんな仕事に就けばいい?

――プログラミングだけではダメなんですね? AI(人工知能)に人間の仕事が奪われるなんて話もありますし、どんな職業に就けば安泰なのか...子どもの将来が心配です。

画像:これからのAI時代に、子どもたちはどんな仕事に就けばいい?

たとえば僕が就職した30年近く前は、メーカーや金融系の仕事が安定していて"いい仕事"だと思われていました。でもその後、メーカーの拠点はどんどん海外に移って国内の雇用は減り、金融機関は統廃合を繰り返して安定したポストは約束されなくなったりするなど、仕事を取り巻く状況は激変しています。逆にいえば、30年安定して成長する産業なんてないし、一生同じ仕事を続けることも社会構造的に難しくなっているのが実情。究極的には「世の中は変わるものだから、自分も変化することを恐れない」ことがいちばん大事になってくると思います。

確かに、単純な作業や技術的な翻訳など、これまで以上にAIの精度が上がって人間の仕事として成立しなくなる職業もあるかもしれません。とはいえ、たとえば高齢者の介護の中でも、お年寄りの移動や入浴などの介助はロボットができるようになったとしても、心のケアのようなコミュニケーションはまだまだ人間の領域。"情緒的な"翻訳も当分AIにはできないでしょう。プログラミングも、「どんな目的でどんなプログラムをつくり、何をしたいのか」と考える仕事は、人間にしかできません。

たくましく生き抜ける大人に育てるために

――企業は、どのような人材を採用したいと考えているんですか?

「イノベーションを起こせる人材」「独創的思考力をもった人材」を求める企業がとても増えていますね。なぜなら、製品が売れるサイクルがどんどん短くなっていて、常に新しいサービスを生み出せる人材が求められているから。たとえば「ウォークマン」は20年間売れ続けたのに、その後に続いた各種ポータブルオーディオプレイヤーは5年程度で勢いを失いました。

でも、イノベーションはなかなか起きないからイノベーションなわけで(苦笑)、そんなことができる人材はごく少数です。でも、ある産業の専門知識ともうひとつ別の分野での経験や知見を結びつければ、とても新しいものが生まれる可能性はある。それを起こせる人材になるというのは、現実的な未来なのではないでしょうか。その中で、ひとつの専門知識としてプログラミングのスキルが身に付いていれば、社会という荒波に乗り出すとき、今にも沈みそうないかだではなく、もう少し安定感のあるクルーザーに乗れるくらいの助けにはなると思います。

――子どもたちがプログラミング的思考やスキルを身につけるために、親にできることってありますか? パソコンのことはあまりよくわからないのですが...。

画像:オンラインプログラミング講座

保護者がプログラミング的思考を理解しないといけない、などということはありません。ただ、学校での授業が始まるまでも始まってから以降も、子どもたちがプログラミングに興味をもたせるきっかけをつくることには、大きな意味があると思います。おもちゃでもよいしプログラミング教室でもよいし、子どもが好奇心をもって「なんでこうなるんだろう?」「これはどういう仕組みなの?」と思えるような働きかけで、プログラミング的思考に近い考え方ができるとよいのではないでしょうか。

そして、世の中にはどんな仕事があって、どんなことで人はお金を稼いでいるのか、さまざまな例を子どもたちに教えてあげること。それが子どもたちの未来のために、親ができる大切なことだと思います。

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チエネッタ編集部

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