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公開日:2020.03.27

ネット上で人を傷つけない&傷つけられない人に! マックスむらいに聞く、アンチコメントとの向き合い方

写真:ネット上で人を傷つけない&傷つけられない人に! マックスむらいに聞く、アンチコメントとの向き合い方

YouTuberにしてAppBank株式会社代表取締役社長CEOとして、幅広く人気を集めるマックスむらいさん。ツイッターのフォロワー数は122万人を超え、YouTubeのチャンネル登録者数は154万人という、インターネットにおける知名度としては日本屈指の存在です。

しかし人気や知名度があればあるほど、ファンや応援以外のものもくっついてくるのがインターネット。とりわけ、「アンチコメント」と呼ばれる誹謗中傷は、切っても切り離せないものです。YouTubeのチャンネル登録をした2013年以来、むらいさんのところにも大量のアンチコメントが押し寄せました。

そんな7年にも及ぶアンチコメントとの付き合いからむらいさんが学んだ、アンチとの付き合い方とは一体どんなものだったのでしょうか。どんな人がどのような意図でアンチコメントを書き込むのか。そして万が一自分がそんな心無いコメントを受けてしまった時、どのように対処すればいいのか。ベテランのYouTuberであるむらいさんの視点から、アンチコメントとの向き合い方を語ってもらいました。

画像:マックスむらい(マックス むらい)

PROFILE

マックスむらい(マックス むらい)
AppBank 代表取締役社長CEO。YouTuber。本名村井智建。株式会社ガイアックスを経て、iPhoneアプリを紹介するサイト・AppBankを立ち上げ、のちに上場。アプリの専門家としてテレビに出演するかたわら、ゲームの攻略記事を書いたり、ニコニコ生放送でLIVE配信にも挑戦。マックスむらいと名乗ってYouTubeチャンネルを開設してからは、ゲーム動画やガジェットレビュー、社員が仕掛け人となるドッキリ企画など多様な動画を7000本以上公開し、チャンネル登録者数は154万人を突破している。

1アンチコメントを書き込んでいるのはどんな人?

写真:アンチコメントを書き込んでいるのはどんな人?

――まず基礎的なところからお伺いしたいんですが、むらいさんのところに寄せられるアンチコメントって、どんな内容のものが多いんでしょうか?

「死ね」とか「殺す」とか「二度と出てくるな」とか、そういう短文というか、一言くらいの文章が圧倒的に多いです。書き込まれるのはツイッターのリプライかDM、YouTubeのコメント欄が多いです。およそ2000文字くらいの、ものすごく長い文章が送られてくることもあるんですよ。

そういう長文はツイッターのダイレクトメッセージとかで送られてきます。言い方を色々変えつつ、昔のことまで遡ったりしながら「いかにお前がクズか」っていうのを説明してくるんですよ。長いと「なんか悪いことしたかな」と思って読みます。

――一番アンチコメントが激しかったころだと、だいたいどれくらいの量が書き込まれたんでしょうか?

一番大炎上したのは2015年の末くらいですね。横領事件に巻き込まれたことがあって、そこからの誹謗中傷が一番ひどかったです。ピーク時は、10分で4000件くらいツイッターにリプライが書き込まれるんですよ。多すぎて全然読めない。思わず、もう端末をスッ......と置いてしまいました......。

写真:思わず、もう端末をスッ......と置いてしまいました......。

――す、凄まじい......!

そういう炎上状態が2年半くらい続きましたね。2018年の夏に、YouTuberのヒカルさんとコラボして「AppBankの闇を暴く!」っていう動画を撮ったんですよ。そこで私がうちの会社はこういうことを考えててこういう苦労があってって説明をしたら、そこでやっと落ち着きました。それまではどんな動画を投稿しても、内容に関係なく3000~4000件は低評価がついてました。

――勝手なイメージだと、「死ね」「殺す」みたいな単純な内容を書き込んでくるのは小学生とかなのかな......と思っていたのですが。

うちのチャンネルは視聴者が幅広くて、小学校高学年から40代くらいまで見ていただいてるんですが、メインは20~30代の男性なんですよ。だからアンチコメントを書く人も、そのあたりがメインなはずです。

――意外に大人が書いてるんですね......。

自分が見たところだとアンチコメントを書くのはみんな社会人で、職場でムカついてて、あとちょっと暇な人たちですね。忙しかったらそもそも動画なんか見てる暇ないし。昔だったらマインスイーパとかソリティアとかやってた人が、今は暇つぶしに動画を見て、「なんかわからんけど叩いたる!」ってなってる気がします。

ネットのリテラシーとかを子どもに教育して......みたいな話ってよく見ますけど、私に言わせれば大人の方がよっぽどヤバいと思いますよ。

2どうしてアンチコメントを書き込むの?

写真:どうしてアンチコメントを書き込むの?

――アンチコメントを書く人は、いったいどのような心理で書いていると思いますか?

例えばテレビを見てて、つまんないなと思ったら「なんだこいつ」とか口に出して言っちゃったりするじゃないですか。あれと変わらないとは思うんですよね。それがSNSになってるだけで。

受け取る方としてはそれがたくさん集合して見えるから「うわ~最悪!」って思うけど、言ってる方はその場のノリだからそこまで思い詰めてるわけじゃないんですよね。だいたい、会ったこともないような人のことをそこまで嫌いになれるわけないじゃないですか。

――確かに、テレビを見ながらボヤくことは普通にありますよね。

あと、長文のアンチコメントを書く人は承認欲求が尋常じゃなく強いです。YouTubeのコメントとかだと第三者も見られるし、コメント自体にいいか悪いかの評価がつけられるようになってるんですよね。だから、第三者からも見られることを前提にして長文を書く人はいます。

――コメント自体が他人からどのように見られるかが大事になってくるんですね。

彼らは、自分がいかに正義の側にいるかというのをアピールしてくるんですよ。「人を殴っちゃいけない」くらいのレベルの、どう考えても反論できないようなことにかこつけて文章を構成してきます。

いわゆる「正論」なので、アンチコメントを書かれた私ですら「ごもっとも......」って思うような内容なんですけど、それをわざわざ書かなくていいだろってレベルのコメントです。有名人を言い負かすのって普通に生活してたらできないから、そういう体験を求めているのかもしれないですね......。

3アンチコメントを書き込まれるとどんな悪影響が?

写真:アンチコメントを書き込まれるとどんな悪影響が?

――そういうコメントが書かれることで、むらいさんにも悪影響が出たことはありますか?

一番最初にアンチコメント書かれた時はやっぱりすごく怖かったですよ。普通の人間はいきなり「死ね」とか書き込まれることに慣れていないんで。本当に殺されるかと思った。気に病んでやってらんなくて毎日お酒飲んでたこともありました。でも途中から感覚が麻痺しちゃって、何にも感じなくなっちゃったんですよね。そうなってからは、自分について書かれたアンチコメントは全く相手にしません。

――慣れで、乗り越えてしまったと。

でも次にきつかったのは、周囲の人間に影響がいくことでしたね。私の動画は社員も出ているんですけど、メンバーが誹謗中傷されないようにしなきゃと気を遣いだすと、ギクシャクしてくるんですよ。コンテンツ作りにも影響してくるし、素直に心から笑えなくなってくるんです。

――確かに、萎縮してしまうことはありそうです。

作ってる現場全体が色んなことを考えちゃうんですよね......。何がきっかけで叩かれるかわからないから、反応も遅くなるし言うこともつまらなくなる。

あと、私のことを応援してくれている人が書き込んだコメントに対してアンチの人たちが20人くらいで寄ってたかって「むらいがいかに最低の人間か」って絡んでいるのを見るのもきついです。それに対して「そんなこと言うなよ」って反応するのも難しいので......。

4中には恐怖を感じるコメントや迷惑行為も......

写真:中には恐怖を感じるコメントや迷惑行為も......

――そこまで悪影響があるなら、コメント欄を承認制にしてしまうことも考えたんじゃないですか?

コメント欄を閉じることは何回も議論しましたが、現在も承認制にはしてません。さすがに「死ね」とかはYouTubeのフィルタリング機能を使って見ないようにしてますけど。

――何か深刻な被害はこれまでになかったんですか?

日時や方法まで書いてある具体的な殺害予告とかは、即警察に通報してます。そこまでいかないまでも、それこそ私の気持ちひとつで警察につき出せるような内容のコメントもあるんですよ。ただ、それを通報するのってやっぱりこっちも気がひけるんですよね。

写真:日時や方法まで書いてある具体的な殺害予告とかは、即警察に通報してます。

――相手の人生にも関わることですもんね。

刺さるアンチコメントを書いてくる人って、「この人、他にどんなことを言ってるんだろう」って気になるんですよ。で、本人のツイッターとか見に行くとやっぱり炎上系のネタが好きだったりとか、社会に対して斜に構えた感じで発言してたりとか、そういう感じでずっと呟き続けてる人が多いんです。ただ、プロフィールとか投稿してる写真とか見ると、身元がはっきり特定できることがけっこうあるんです。

――それって、どのくらいまでわかるんですか?

もう「どこの大学のどこのサークルの何年生」とか、そのくらいまでわかるんです。ここ数年はやってないですけど、前はそういう人を見かけたら「プロフィールのこれ、消した方がいいですよ」って言いにいってました。私に対する発言は別にいいけど、本人の所属とか全部わかっちゃってるし、大丈夫かなと思って。

――相手からはどんな反応が返ってくるんですか?

もうプツッと更新や連絡が途切れたり、あとは普通にお礼を言われることも多いですね。「やべえ!」ってハッとするんじゃないかな。脇が甘いのをわかってない人が多いですよ。でも世の中持ちつ持たれつだし、これはこれで社会勉強として、思いやりを持って生きていこうぜ......みたいな気持ちです。

5アンチコメントへの対処法とは?

写真:アンチコメントへの対処法とは?

――アンチコメントへの対処法として、むらいさんが実践していることはなんでしょうか?

無視ですね。アンチに答えるとアンチが増えますから。以前ケガして動けなかった時に全部のコメントにレスをつけまくったことがあるんです。その時はアンチだけじゃなく普通のコメントとか応援コメントにも分け隔てなくレスしてたんですけど、アンチにレスしたとこだけが切り取って拡散されて、「むらいがアンチコメントに言い返して炎上」みたいな感じで話題になっちゃって。それがまたアンチを呼んで、しばらくコメント欄がアンチだらけになったことがあったんです。なので、どんなに言い返したくなってもアンチにレスはしないほうが良い。

――例えば、直接アンチに会って言い返してやろうということはなかったんでしょうか?

私、前はよくオフ会みたいなことをやってたんですよ。そこに何人か中傷を書いた人を呼んで、直接話したことがあるんです。でも「なんか色々すいませんねえ」って話しかけたら「いや、むらいさんが頑張ってるのはよくわかってるんです」とか言われて、「よくやってますよ」って褒められたんですよね......。

今まで何回もそういう人に会ってますけど、「おら~!」って喧嘩になったとかは一回もないです。逆にそういう人って、一回会うと熱烈にこっちを応援してくれたりするんですよ。ただ、そうやってアンチコメントをする人全員とリアルで対話できるわけもないので、誰にでも使える手段じゃないですけどね。

写真:アンチコメントをする人全員とリアルで対話できるわけもないので、誰にでも使える手段じゃないですけどね。

――なるほど。では先程お聞きしたアンチがアンチを呼ぶ状態、つまり「炎上」してしまった場合は、どう対応すべきだと思いますか?

個人でやっているYouTuberさんは、一回炎上したら謝ってしばらく休むのがいいと思います。私はそれができなかったので。前述した横領事件にしてもうちの会社は被害者なのに、まるで私が犯人みたいな騒ぎになったわけです。でも従業員やその家族、あと株主にも責任があるので、私がそこで休むわけにいかなかったんですよ。周りから見たら負けたように見えるし、アンチからすれば私が悪いことを認めたように見えるはずなので。

――つらい立場ですね......!

でも、個人でやっている人はそこまでやらなくていいと思います。毎日動画更新すると毎日コメントがつくじゃないですか。一回ターゲッティングされると、毎日アンチコメントが増えていくんですよ。例えばチームでやってるYouTuberがそんなことになったら一週間くらいで組織が瓦解するし、アンチからすれば勝ったも同然です。そんなことになるくらいなら、絶対に一度休んだ方がいい。

6自身が加害者にならないために気をつけるべきこととは?

写真:自身が加害者にならないために気をつけるべきこととは?

――話を戻して恐縮ですが、先程、人々はテレビを見ながらボヤく感覚でアンチコメントしている、とおっしゃっていました。でもテレビと違ってインターネットでの書き込みは相手にも見える、ということは、考えればわかると思うのですが。

いやー、一般の方の中には、あんまり気にしてない人も結構いると思いますよ。だからプロフィールで身元を堂々と載せたまま、気軽に思ったことを投稿しちゃう。相手側に自分も見られていることまで想像してないというか。

――そこまで深く考えずに投稿しているとすれば、自分が放った何気ない一言が相手側にとってはアンチコメントになってしまう可能性もありそうです。加害者側にならないために気をつけるべきことはありますか?

これはアンチコメントに限らずですけど、インターネットで不用意なことを書きそうになったらまずは一旦落ち着いて冷静になる。シンプルですが、それしかないんじゃないかと。

もちろん私もアンチコメントにイライラすることはあるんで、そういう時はとにかくムカついた気持ちをそのまま長文にして書くんですよ。でも、テキストエディットに書くだけで、どこにも出さないでそのまま消す(笑)。こんな感じで、イラっとした時はとにかく一呼吸置くのが大事ですよね。

写真:イラっとした時はとにかく一呼吸置くのが大事ですよね。

◆まとめ

一見、過激な字面にギョッとしてしまうアンチコメントですが、その実、発信者はあまり悪気なく書き込んでいる......というお話が印象的でした。小さなつぶやきでも、集合するとコンテンツ配信者を脅かすほどの威力を持つ、インターネット。不特定多数の人々が行き交う、ネット上の怖さが伝わってきます。うかつな投稿でむやみに他人を傷つけないのはもちろんですが、自分を守る観点からみても、いま一度自分のネットライフを見直し、慎重に情報開示・発言していくのが最善の策と言えそうです。

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