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更新日:2025.11.27

連載ネットのいろは

vol.65

ディープフェイクとは? 今、知っておきたいAI用語集

Topイメージ

総理大臣の偽動画がSNSで拡散、有名な投資家の偽音声だと気が付かず現金をだまし取られた投資詐欺の事件…これらは「ディープフェイク」によるものだとご存じの方も多いのではないでしょうか。言葉は知っているけど詳しくは知らない方へ「ディープフェイク」についてご紹介します。ディープフェイクと密接に関わるAIにも注目。AI関連の用語もあわせておさえておきましょう。

① ディープフェイクとは?

「ディープフェイク」は、「ディープラーニング(深層学習)」というAIの技術と、「フェイク(偽物)」を組み合わせた造語です。
AIを活用して作られた「本当は存在しない人や場面を、本物のように偽った」画像や動画というとわかりやすいのではないでしょうか。
AIは大量のデータから自動的にパターンや特徴などを見つけ出すことができます(ディープラーニング)。
例えば、ある人物の表情、顔の向き、目や口の位置、肌質といった顔の特徴に加えて、声や動きなどのデータを大量に学ばせることで、その人物らしさを再現できる「モデル」として記憶します。
学習したモデルに例えば、言わせたい台詞や入れ替えたい背景などを合成することでディープフェイクを完成させることができます。

ディープフェイクイメージ

ディープフェイクの中核技術といわれているのがGAN(敵対的生成ネットワーク)です。
生成する側(Generator)と見分ける側(Discriminator)の2つのAIモデルが競い合いながら学習することで、精度の高いリアルなデータを作り出すことができます。
例えるならGeneratorは絵を描く側、Discriminatorは本物か偽物かを判定する側です。GeneratorはDiscriminatorに偽物と見抜かれないようなデータ(画像、音楽、テキストなど)を作り出します。Discriminatorはそのデータを本物か偽物かを見破る訓練を繰り返すことで、生成されるデータの質が飛躍的に上がります。

GANの学習イメージ

GANを用いた技術はエンターテインメント業界のほか医療やファッション、教育などさまざまな分野で幅広く活用されています。

ディープフェイクを正しく使うことであらゆる業界が発展する一方、ディープフェイクがきっかけとなったフェイクニュースでの誤情報の拡散や、個人情報を不正に取得され詐欺に利用されるなど、問題視されている側面もあります。言い換えるとその位に本物と見分けがつかない画像や動画を作ることが可能で、高い技術が使われているのです。

② ディープフェイクの現在と未来

ディープフェイクは私たちも楽しめます。例えばスマートフォンアプリなら、あらかじめ用意されているテンプレートに自分の顔を合成した画像を生成したり、画像に動きをつけて動画にしたり。
さらにはリアルタイムで自分の表情や声を他の人に反映させられるものなどがあります。
映画の登場人物の若返りや老化、架空のキャラクターなどはディープフェイクによるものだと知らずに見ている可能性もありますよ。
また、近年人気のVTuber(Virtual YouTuber)もディープフェイクの技術が応用されています。AIにキャラクターの動く画像を読み込ませて、自身の動きと連動するキャラクターを扱い、本人のように見せられるのです。

ディープフェイクが登場した当初は顔の入れ替えのみで合成箇所もわかりやすかったといわれています。それが現在では人工的に作られた映像とはわからないほど、精巧に。技術進化は目覚ましいものです。
関連する市場は成長しており、リアルタイム処理や検出技術はますます発展するといわれています。
例えば、歴史の授業では、坂本龍馬やアインシュタインなどの歴史上の人物を映像と音声で再現し、臨場感のある授業を提供することが可能になるでしょう。さらに、口の動きと音声を自動で同期させる技術を使えば、言語教育の質を飛躍的に向上させると期待されています。これまでの教育では難しかった、「体験型の学び」がディープフェイクによって実現されるかもしれません。

③ ディープフェイクへの対策と取組

ディープフェイク報道イメージ

ディープフェイクの進化は社会やビジネスに多大な影響を与えます。

例えば、2024年1月1日に発生した「令和6年能登半島地震」では、当時の現場で撮影されたものではなく、過去の映像などを流用して、注意をひくような動画がSNSで拡散されていました。それらの動画では、300万回以上の再生がされたものもあります。
さらに、世界でもディープフェイクの反響は大きく、2020年には、新型コロナウイルス感染症と5G電波との関係を謳うフェイクニュースが作成され、携帯電話基地局の破壊活動を招く事件などが社会的にも大きな影響がありました。

このような誤情報をはじめ、冒頭で紹介した詐欺、なりすまし、偽広告などによる被害は私たちにとっても他人事ではありません。
ディープフェイクを見破ることは情報の信頼性や犯罪防止などの観点から今後ますます重要になっていきます。

まずは自分でディープフェイクを見抜くためのポイントをご紹介します。

1.情報の出所を確認

情報元が信頼できるのか確認しましょう。例えばSNSの投稿については公式Webサイトや報道機関の情報を確認して裏付けを取ることが大切です。特に災害情報や有名人のゴシップなど強く感情を揺さぶるコンテンツには注意が必要です。

2.複数の情報源を比較する

1つの情報だけで判断せず、複数のニュースや専門家の意見を確認しましょう。特に政治・災害・事件などの話題は注意が必要です。

3.発信する情報にも気をつける

SNSで流れてきた情報を鵜呑みにし、投稿・拡散してしまうと自分自身が偽の情報発信源になる恐れがあります。情報はインプットの時だけでなく、アウトプット時もファクトチェックを忘れずにしましょう。

少しでも違和感があれば事象に合わせて例えば「偽広告 事例」「著名人 なりすまし広告」などのキーワードで検索してみるのもおすすめです。

検出ツールへの期待

海外ではすでにディープフェイクを検出するアプリがありますが、音声データの検知については、日本語に対応しているアプリがありません。現在日本企業が生成AIによるディープフェイクの誤情報検出技術の開発を進めており、日本語に対応する日も遠くないでしょう。
さらに、NTT東日本株式会社は総務省の「インターネット上の偽・誤情報等への対策技術の開発・実証事業」の採択を受け「電話音声フェイク検知および自治体向け偽・誤情報総合対策の開発・実証」を2025年8月25日より開始しています。

このようにディープフェイクの検出ツール開発は進んでおり、浸透すると偽の情報による危険に巻き込まれる可能性は低くなるかもしれません。

④ AI用語集で理解を深める

ディープフェイクがAIの活用例であることがおわかりいただけたのではないでしょうか。
またAIは日常的に利用しているサービスにも多く取り込まれており、今や社会にとって欠かせないものです。
自分自身でAIを利用する機会もますます増えてくるでしょう。
ここではこれだけは知っておきたいAIに関連する用語を解説します。

1.AI(人工知能)

Artificial Intelligenceの略語。人間が問題を解こうとして考えたりする知的活動を模倣するコンピューターシステムやプログラムの総称です。データをもとに自動で処理や予測をすることができます。

2.生成AI

文章や画像、音声などのコンテンツを自動的に生成するAIのこと。大量のデータを学習し、その中で見つけたパターンをもとに、新しいコンテンツを生み出す仕組みです。
生成AIについて詳しくはこちら

3.機械学習

機械学習とは、AIが「教師ありデータ」(正解データあり)と「教師なしデータ」(正解データなし)両方のデータからパターンやルールを学び、予測や分類などの判断を自動で行う技術。経験をもとに賢くなる仕組みです。

4.深層学習(ディープラーニング)

機械学習の一種。人間の神経細胞の仕組みを模倣した多層のニューラルネットワークを用いて、膨大なデータから自動的にパターンや特徴を抽出・学習します。

5.ニューラルネットワーク

人間の脳神経回路網を模倣したAIの計算モデル。一つの問題に対していくつもの視点で捉えて答えを導き出すことが可能で深層学習で使用されています。

6.自然言語処理

人間が日常的に使う言葉(自然言語)をコンピューターが理解し、処理する技術の総称です。翻訳や音声認識、文章要約で使用されており、スマートフォンやパソコンでの音声操作などを可能にしています。

7.画像認識

コンピューターがデジタル画像や映像を分析し、その中に含まれる人やモノ、文字、パターンなどの情報を自動的に識別・分類する技術。顔認証でのセキュリティーなどに利用されています。

8.プロンプト

人からAIに対して行ってほしいことを指示するための言葉や文章です。質問や命令を行うことでAIの応答や生成内容をコントロールするため、指示によって出力結果が大きく変わります。正確性や具体性が重要です。

9.AI理論

人間の知能を必要とする思考、学習、認識、判断などのタスクを、コンピューター上で再現・実行させるための科学技術の総称です。生成AIなどの基礎的な概念となり、AI理論がなければ、大量のデータを活用した画像認識や自然言語処理の技術は発展しなかったかもしれません。

⑤ 画像や動画を加工するなら、高速・高品質な回線で!

高速回線で画像加工のイメージ

今回はディープフェイクとAIにまつわるAI用語をご紹介しました。品質の高い画像や動画を自身の思う姿に変えられるとしたら、挑戦してみたいと思ったのではないでしょうか。(著作権侵害や肖像権侵害のリスクを調べてから作成してくださいね。)
そのためには、安定したインターネット環境が必要不可欠です。

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・通信速度は、端末機器の仕様などお客さまのご利用環境や回線の混雑状況などによって低下します。
※2 フレッツ 光クロスは一部サービスがご利用いただけません(セキュリティ対策ツールなど)。
詳細は[https://flets-w.com/service/cross/service_menu/]をご確認ください。
※3 インターネットのご利用には、プロバイダーとの契約・料金が必要です。

※この記事は2025年10月1日現在の情報です。
※本項に記載されている画像はすべてイメージです。

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チエネッタ編集部

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