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公開日:2020.03.31

「サーキュラーエコノミー」とは? サステナブルなライフスタイルを送るためのキーワード3

写真:「サーキュラーエコノミー」とは? サステナブルなライフスタイルを送るためのキーワード3

世界的な気候変動の対策を考えるうえでとても重要なキーワードがあります。それは「サーキュラーエコノミー」という考え方です。「有害な廃棄物・排出物を出さない」「投入した資源を使い続ける」「自然システムを再生する」ことを実現するこの経済モデルは、最近流行りのサブスク(サブスクリプション)モデルにも近しく、私たちの軽やかな生活の一助ともなるでしょう。vol.1「気候変動」、vol.2「エシカル消費」に続き、vol.3では「サーキュラーエコノミー」について、CIRCULAR ECONOMY JAPAN代表で、サーキュラーエコノミーの推進とサステナブルなライフスタイルを提案する中石和良氏にお話を伺いました。

画像:監修者:中石和良氏

PROFILE

監修者:中石和良氏
サーキュラーエコノミー(廃棄を出さない資源循環型経済)に関する情報蓄積・啓発等を行う非営利型一般社団法人「CIRCULAR ECONOMY JAPAN」代表理事。松下電器産業(現・パナソニック)、富士通において経理財務・経営企画部門を歴任。ITベンチャー、食材専門商社の経営企画部門役員を経て、2013年株式会社ビオロジックフィロソフィ、一般社団法人日本ビオホテル協会を設立。サステナブル社会実現に向けた活動を行う。

廃棄物を出さない!? 投入した資源を使い続ける!?

写真:廃棄物を出さない!? 投入した資源を使い続ける!?

これまで人類の経済活動は主に「リニアエコノミー」と「リユースエコノミー」によって保たれてきました。

リニアエコノミーとは「原料→生産→消費→廃棄」という直線的プロセスをたどる経済活動です。こうした大量生産・大量消費・大量廃棄型の経済活動は、特に人類の経済成長を支えましたが、他方で多くの自然環境を破壊しています。

その反省を踏まえ、リニアエコノミーの"延長線上"にあるのが、リサイクリングエコノミーです。日本では2000年頃から「循環型社会形成推進基本法」に基づく「3R」活動----リデュース(ごみの発生を抑制する)・リユース(繰り返し利用する)・リサイクル(資源として再活用する)----が広く認知されていますが、まさにこれがリサイクリングエコノミーに位置付けされます。

しかし、リサイクリングエコノミーは「廃棄物をどのように有効活用するべきか」という"廃棄の発生"を前提にした考え方のもと成り立っています。リサイクリングエコノミーは、「今(リニアエコノミー)よりはマシ」ということです。

これらに対し、サーキュラーエコノミーは「有害な廃棄物や排出物を出さない」「投入した資源を使い続ける」「自然システムを再生する」という3つの原理で構成する経済モデルで、以下3つの原則のうえに成り立っています。

サーキュラーエコノミーの3原則

サーキュラーエコノミーのバタフライダイヤグラム

サーキュラーエコノミーをもう少し詳しく見ていきましょう。

下記の図は「サーキュラーエコノミー・バタフライダイヤグラム」と呼ばれるものです。左側は「再生可能資源」(農作物や魚類、淡水、木材、バイオマス等)による"生物的サイクル"、右側は「枯渇性資源」(金属や化石燃料等)の"技術的サイクル"。

左右各々が多層的にサイクルを描いているのが大きな特徴で、できるだけ"内側"のサイクルで循環させることが望ましい、とされています。

3Rはこの循環に含まれる一要素に過ぎず、特に「リサイクル」が技術的サイクルにおける最終手段になっている(リサイクルより内側に、他の手段がある)ことも大きなポイントです。

CIRCULAR ECONOMY BUTTERFLY DIAGRAM

注:Ellen MacArthur Foundation Circular economy system diagram(February 2019)「Drawing based on Braungart & McDonough Cradle to Cradle(C2C)」よりCEJ作成

すでに社会実装が進むサーキュラーエコノミー

サーキュラーエコノミーはすでに私たち"コンシューマー"に身近なビジネスとして、社会に拡がりつつあります。ここでは3つのサービスを紹介しましょう。

●サーキュラージーンズ「MUD Jeans」

オランダ・MUD Jeans社の「サーキュラージーンズ」。初回登録(登録料約3,500円)をすれば、定額(月約800円)でジーンズをレンタルできます。1年間のレンタル期間が終了すれば、新しいジーンズと交換するか、履いていたジーンズを買い取ることも可能。返却されたジーンズはもとのコットンの状態に戻され、新たなコットンを混ぜた後、再び新しいジーンズとして加工・レンタルされます。一般的なジーンズのベルト通しにあるような革製ラベルは使わず、MUD Jeansのブランド名は生地に直接印刷されます。

●サーキュラースマートフォン「Fairphone」

オランダのスタートアップによる、Android端末のスマートフォン「Fairphone」(フェアフォン)。ユーザー自らがスマホ本体を分解し、カメラ、ディスプレイ、スピーカーなどのモジュール化されたパーツを取り替えられる仕様としています。パーツには紛争鉱物(アフリカ諸国等の紛争地域で採掘された鉱物資源)がほとんど使われておらず「エシカルなスマホ」とも言えます。現在は第3世代「Fairphone3」がヨーロッパで流通しており、価格は450ユーロ(約5万3000円)です。

●循環型ショッピングプラットフォーム「Loop」

アメリカ・テラサイクル社の「Loop」(ループ)。食料品・日用品などを入れるプラスチック容器をアルミやステンレスなどの素材に置き換え、商品を自宅まで届ける宅配サービスです。使い終わった空き容器はユーザーの自宅で回収され、洗浄・補充のうえ、再利用されます。サービスの対象となる消費財メーカーがパートナーとしてこのプラットフォームに参画。2019年に日本での実施が発表され、2020年中に東京都内での本格運用が予定されています。

LOOP仕組み

2015年12月にEUで「サーキュラーエコノミー・パッケージ」と題した行動計画が発表されるなど、ヨーロッパ各国ではサーキュラーエコノミーの具体的ロードマップが描かれています。なかでもオランダ政府は2050年までの「サーキュラーエコノミー100%実現」を宣言しました。

真の"循環型社会"にも寄与するサーキュラーエコノミーは、気候変動への対策としても大きな期待が寄せられています。日本のビジネスでも、この新しい経済モデルは重要なキーワードになるはずです。

3回にわたってお送りした、サステナブルなライフスタイルを送るためのキーワード。世界で重要なキーワードになっているエシカル消費とサーキュラーエコノミー。これらサステナブルなライフスタイルを送るためにはトレンドを十分に理解し、日頃の生活から少しずつでもそれを意識していけば、人類にとって喫緊の社会課題である気候変動にも立ち向かえるかもしれません。

関連記事:
「気候変動」とは? サステナブルなライフスタイルを送るためのキーワード1
「エシカル消費」とは? サステナブルなライフスタイルを送るためのキーワード2

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チエネッタ編集部

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