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更新日:2018.04.02
連載子育てデジタルシフトを考える
vol.04
これが未来の教室のカタチ ICT×アクティブ・ラーニングの現場に潜入!(後編)
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シリーズ「子育てデジタルシフトを考える」3回目は、ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)を活用した教育モデルづくりに取り組む京都聖母学院小学校を取材しました。全児童がiPadやノートパソコンを使用した、最先端の授業を行っています。
前編では、実際の授業の現場を取材しました。小学校の当たり前の風景に、デジタルが溶け込み、変わり行く姿が実感できたのでは。後編では先生方に、ICT教育に取り組む上での工夫や、生徒たちへの想いを伺いました。
デジタルに飲み込まれないための決まりごと
ICT教育の最先端で、教師たちはこう思う
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当たり前に行われるクラウドを使った画面共有や共同編集。活発な話し合い、積極的な意見発表――京都聖母学院小学校のICTを取り入れた授業は、私たちが思い描きがちな「児童が静かに画面に向かっている」というイメージを覆すもの。児童たちがデジタル機器に触れる姿からは、不安を感じさせるどころか、この子たちが大人になったらどんなすごいことをしてくれるのだろうと、ワクワクします。
このような子どもとデジタルの関係づくりは、どのようにして行われてきたのでしょう。教頭の長谷川先生、授業を見学した5年ゆり組担任の丸尾先生、そしてNTTラーニングシステムズ・教育ICT推進部の新田拓也さんにお話を伺ってみましょう。
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京都聖母学院小学校 教頭
長谷川先生
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京都聖母学院小学校 教諭
丸尾先生
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NTTラーニングシステムズ株式会社 教育ICT推進部 ビジネス部門
新田さん
ノートがデジタル化すると、効率化だけではなく、
"書けない子"が"書けるようになる"
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――児童が非常に自由にデバイスを使いこなしていることに驚きました。
――アクティブ・ラーニング自体はICTが必須というわけではないですが、ICTを取り入れることに、どんなメリットを感じておられますか?
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紙のノートですと、ページをめくらなければいけませんが、Chromebookのスライドショーだと振り返りも簡単です。また、6時間分の授業を振り返るときも、スライドショーからほしいスライドをコピーして、パズルするようにまとめをつくれます。
もうひとつは、パソコン入力だと悩んでいる段階で書けるというメリットもあります。勉強が苦手な子は、自分の答えに自信がないから書けないし、鉛筆で書いて消すということさえもハードルになってしまうんです。動作ひとつで消せるということが、思い切って書くことを促すと思います。
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――先ほど授業のあとに、児童からも効率化を感じている声がありましたね。
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文字の色を変えたり、デザインの工夫をしたり、鉛筆だけでは表現できなかった方法を子どもなりに学んでいるのはすごく感じます。みんなで話し合いをするときも「何ページだっけ」「どこだった?」と探すのではなく、すぐに「私のこれ!」と言える。それによって、話し合いの時間が多くなり、また内容も濃くなることもプラスだったと思います。
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ICTの導入で、教材解釈力や授業の幅が広がったことは確かだと思いますね。児童のデータはすべてクラウド上に保存されていますので、教室でChromebookを使って作成したデータを、コンピューター室のデスクトップコンピューターで呼び出して発展させられるようにもなりました。
デジタルはあくまでツール
子どもたちを大切に想う、学級経営の大切さ
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――ICTの導入にあたり、気をつけたポイントはありますか?
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何のために使うのか(目的)、どのような機能を使うのか(方法)、授業でどのように扱うのか(活用)の3つが揃って、始めて授業として成り立つと考えています。この3つが頭にないままでICTを使うと、ICTに飲み込まれてしまいます。教師としては「あくまでもひとつのツール」という立場を、絶対に崩してはいけないと思っています。児童にとって、Chromebookは今までできなかったことができるとーってもステキな勉強道具なんです。
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丸尾先生の授業で印象的なのは、ICTを使わされている感じがまったくないことです。先生の授業設計のなかで設定されたゴールに向かうプロセスの、どの部分にICTを活用するのかが非常に明確なのだなと思います。
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学校教育において一番の基盤は学級経営です。Chromebookを使っているときに、友だちが自分の画面を見ていても、自分のデータを修正されても平気でいられたりするのは、学級に安心感があるからなんです。「どんな意見を言ってもちゃんと受けとめて聞いてくれる」という安心感を育てた学級だからこそ、今日見ていただいたような授業ができるのだと思います。
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――確かにお互いのデータを見せ合うことに対して、まったく抵抗感を持っていないことも、授業を見学して驚いたことのひとつでした。昔でいえばノートを見せ合うのと一緒ですものね。「私の真似をした」などと、もめることはありませんか?
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そういったリスクを利点に変えていくのが学級経営の仕事だと考えています。データ作成を学ぶときには、「友だちに真似をしてもらえるということは、なんて素敵なものをつくったんでしょうって思わない?」と最初に伝えています。すると、「自分の考えを使ってもらえてうれしい」という喜びが生まれますから。ただし、「友だちの意見は青色で書き加えて自分の意見と比較するように」と約束をしています。
――「情報」の授業をはじめ、段階的に負担なく取り組めるような授業設計と、各クラスの学級経営があるからこそ、理想的なかたちでICTを活用できるのですね。
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小学校の教師の仕事には、幼い児童たちの心を育てていく面がとても大きいんですね。もし、デジタル機器が冷たいモノであるなら、小学校の教育現場では使われなくなると思います。でも、冷たいものに心を宿すというと大げさかもしれませんが、温かいものに変えていくことはできるんじゃないかと思うんです。同じように、ご家庭でもデジタル機器を温かいものにすることはできると思います。
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たとえばドッジボールも、遊びに使えば良いものだけど、窓ガラスに向けて投げたらダメなわけですよね。デジタルでも、アナログでも、どんなツールも正しく使うという"芯"の部分を育てるのが小学校教育だと思います。
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実は、私自身はデジタル機器がすごく苦手です。それでもこうしてICTを使った授業をするのは、これからこの社会を生きていく子どもたちのためです。自分なりの意見を持ったり、自分で考えをまとめたり、素直に友たちと考え方を共有したり、嫌なことを嫌と声を挙げて学んでいく意世代。デジタルが苦手だからといって、私のかわいい子どもたちに「ほかの先生に習ってね」とは言えません。
少し先を行く、教育のデジタル化が進む現場をご覧いただきました。笑顔溢れる教室や授業の様子、また先生方の考え方を知ると、子育てや教育がデジタル化することに感じられる漠然とした不安感も、晴れていくのではないでしょうか? 親も教育者も、子どもの成長を見守り、育んでいく役割と責任はデジタル化しようと変わりません。その軸さえぶれなければ、子どもたちの自主性と進化する環境は、より良い未来に通じていることでしょう。
子育て世代のリアルな声、デジタル教育の最前線に迫るレポート・インタビューと、3回にわたって連載した「子育てデジタルシフトを考える」シリーズ、いかがでしたか? 子どもと一緒に、より良いデジタルとのつきあい方を考えていきましょう。
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Chromebookは時に教科書、時にノートになります。ICTに取り組むにあたって、児童はどんな機能があり、どんな風に、ノートのように使う方法があるのかを段階的に学んでいきました。最初の単元では「インターネットから画像をダウンロードして貼り付ける」。次に、「自分で資料を選び、なぜその資料を選んだのか」の発表・討論を行い、吹き出しやテキストボックスを使って画像に文章を添える方法を身につける、という風にです。