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公開日:2020.03.31

「気候変動」とは? サステナブルなライフスタイルを送るためのキーワード1

写真:「気候変動」とは? サステナブルなライフスタイルを送るためのキーワード1

日本では1990年代頃から「省エネ」や「エコロジー」の議論が活発に行われてきましたが、近年は気候科学の発達で「地球の温暖化は確実に進んでいる」と報告されています。もはや気候変動は世界的な関心事......。私たちも無関心ではいられません。いったいこの事態にどのように立ち向かえばよいのでしょうか。CIRCULAR ECONOMY JAPAN代表で、サーキュラーエコノミーの推進とサステナブルなライフスタイルを提案する中石和良氏にお話を伺いました。

画像:監修者:中石和良氏

PROFILE

監修者:中石和良氏
サーキュラーエコノミー(廃棄を出さない資源循環型経済)に関する情報蓄積・啓発等を行う非営利型一般社団法人「CIRCULAR ECONOMY JAPAN」代表理事。松下電器産業(現・パナソニック)、富士通において経理財務・経営企画部門を歴任。ITベンチャー、食材専門商社の経営企画部門役員を経て、2013年株式会社ビオロジックフィロソフィ、一般社団法人日本ビオホテル協会を設立。サステナブル社会実現に向けた活動を行う。

地球上の気候変動が確実に進んでいる!?

写真:地球上の気候変動が確実に進んでいる!?

そもそも気候変動はなぜ起こるのでしょうか。起因となっているのは、人類による文明の発展です。

元来、地球は太陽からの日射で温められています。しかし地球上の生物がより快適に暮らしていくためには、この"日射"だけだと不十分。地球上の気温をよりよい状態にしてくれるのが、大気中に含まれる「温室効果ガス」です。

温室効果ガスは"赤外線を吸収・放出する"という特殊な性質を持ちます。太陽からの日射によって地表面が温められると、その熱は赤外線として(宇宙に向けて)放出され、大気中の温室効果ガスがその赤外線をキャッチ。再び地表面へ赤外線を放出し、気温を上げます。これが「温室効果」と呼ばれる自然現象です。

もし地球上で温室効果が起こらなければ、地球の表面温度は「氷点下」にまで下がると考えられています。本来、温室効果は人類生存に欠かせない自然現象です。そして、その温室効果ガスに属する代表的な気体が「二酸化炭素」です。

18世紀の産業革命以降、人類が文明を、そして経済を発展させていくなかで、二酸化炭素を放出する化石燃料(石炭・石油等)がたくさん使われました。そのことから大気中の二酸化炭素が必要以上に増え、"自然現象としてあるべき、本来的な温室効果"の均衡が崩れてしまいました。

これが地球温暖化、ひいては気候変動を引き起こしている要因だと考えられています。二酸化炭素排出の主な原因である化石燃料に依存しない社会をつくる----そうした考えから、今の社会は「脱炭素社会」をめざしています。

今世紀末、最大"4.8℃"の気温上昇が予測される

写真:今世紀末、最大4.8℃の気温上昇が予測される

専門家による国際的かつ科学的な研究活動に「国連気候変動に関する政府間パネル」(通称・IPCC)という政府間機関があります。2013〜14年にかけてIPCCが発表した「第5次評価報告書」(AR5)は、具体的な科学的根拠、そして観測事実をもって「地球上の気候変動が確実に進んでいる」ことを示すレポートとして話題を呼びました。気候変動の研究・活動がますます活発になったのは、このAR5が公開された2013〜14年頃からのことです。

AR5は第1作業部会(WG1):自然科学的根拠、第2作業部会(WG2):影響・適応・脆弱性、第3作業部会(WG3):気候変動の緩和といったワーキンググループごとに構成され、全体ではかなりのボリュームに及びます。そこでは世界の平均気温が右肩上がりで上昇していることが示されると同時に、人類が今の経済活動を続けた場合、今世紀末には「最大"4.8℃"の気温上昇が予測される」と報告されました。

また、気温上昇した未来には以下のような「将来的リスク」が予想され、研究者や各国首脳、産業界リーダーの間で大きな懸念を持たれています。

AR5で報告された将来リスク

そんな事態が続くなか、2015年12月フランス・パリで開催された国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)において、気候変動緩和策が提示されました。

基本方針は「産業革命以前に比べて、世界の平均気温上昇を2℃未満に抑えるとともに、1.5℃未満に抑える努力も追求する」----これが国際間協定として採択された「パリ協定」で、これらの目標は「2℃目標」「1.5℃目標」とも呼ばれています。

さらに、2018年10月にIPCCが取りまとめた新しいレポート(通称・1.5°C特別報告書)では「世界全体の平均気温は産業革命以前からすでに約1.0°C上昇しており、このままでは2030〜52年に"1.5°Cの上昇"にまで達してしまう」と提言されました。さらには「1.5℃未満に抑えるためには、人為的な二酸化炭素排出量を2030年までにおよそ半分に、2050年頃には正味ゼロになければならない」とも指摘されました。

いずれにせよ、気候変動はすでに厳しい局面に突入しています。今、人類は何かしらの行動を起こさなければいけません。

民間から起こす気候変動の対策

写真:民間から起こす気候変動の対策

そうした各国動向に併行して、気候変動は民間人の間でも大きな関心事になりつつあります。その代表的な事象が、2018年12月、ポーランドで開催されたCOP24におけるスピーチで世界的注目を集めたスウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥーンベリさんです。

グレタさんは、その後ニューヨークで開催された「国連気候行動サミット2019」(2019年9月)の招待スピーチで、目前の危機に行動してこなかった"各国の首脳"や"大人たち"に対し「How dare you!」(「よくもそんなこと!」)と訴えかけ、一躍時の人となりました。

残念ながら、グレタさんが起こしたような大きな"うねり"は日本国内でまだ起こっていませんが、気候変動はこれからの日本においても"自分ゴト"の問題として拡散されていくでしょう。

日本国内に限れば温室効果ガスの排出量は二酸化炭素が圧倒的に多く、まずは「家庭での節電」「省エネ家電への買い換え」「再生可能エネルギーを供給する電力事業者の選択」「公共交通機関の利用」といった、一般的にもよく知られているエコライフの実践が大切です。

しかし他方で、世界的に見た(人為的な)温室効果ガスの総排出量のうち「化石燃料由来の二酸化炭素」は65%ほど。それとは別に、森林減少や土地利用の変化を起源とする二酸化炭素吸収源の減少や、湿地・水田・家畜などを発生源とするメタンなども多くを占めています。

人為期限の温室効果ガスの総排出量に占めるガスの種類別の割合(世界)

引用元:経済産業省 資源エネルギー庁 人為起源の温室効果ガスの総排出量に占めるガスの種類別の割合(世界)

気候変動への対策は、単に「省エネの実践」だけで解決できるものではなく、経済活動全体に目を配ることが肝心です。特に最近は「エシカル消費」(倫理的な消費活動)、さらには人間のウェルビーイング向上及び経済的成長と環境負荷低減を両立させる経済モデル「サーキュラーエコノミー」などが世界的に注目されており、それらの実践も気候変動の抑制に有効な解決策となります。

次回、サステナブルなライフスタイルを送るためのキーワードvol.2では、気候変動を抑える一手ともなる「エシカル消費」について解説します。

関連記事:
「エシカル消費」とは? サステナブルなライフスタイルを送るためのキーワード2
「サーキュラーエコノミー」とは? サステナブルなライフスタイルを送るためのキーワード3

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